JSP、27年3月期は増収・連続増配予想、高機能材製品の販売増加が寄与

2026年5月25日 07:37

 JSP<7942>(東証プライム)は発泡プラスチック製品の大手である。グローバルニッチのマーケットリーダーとしてのさらなる競争優位性の追求、4つの成長エンジンを中心とした収益性の高い成長分野への集中投資などにより収益の最大化を図り、資本効率の向上を目指している。26年3月期は高付加価値製品が好調に推移して2桁増益だった。27年3月期は原材料・エネルギーコストの不透明感などを考慮して減益予想としているが保守的だろう。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響を受けた直近安値圏から切り返して反発の動きを強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。

■発泡プラスチック製品の大手

 発泡プラスチック製品の大手で、押出発泡技術をベースとするポリスチレン・ポリエチレン・ポリプロピレンシートなどの押出事業(産業用包装材、食品用包装材、広告用ディスプレイ材、住宅用断熱材、一般包材など)、およびビーズ発泡技術をベースとする発泡ポリプロピレン・発泡ポリエチレン・発泡性ポリスチレン製品などのビーズ事業(自動車衝撃緩衝材、家電製品緩衝材、IT製品輸送用通い函など)を展開している。

 22年1月には射出成形事業参入を目的としてGHEPI社(イタリア)に35%出資、23年9月には射出成形事業拡大を目的としてHAPP社(ドイツ)に70%出資、24年1月にはリサイクル発泡ポリプロピレン(ARPRO RE)供給体制強化を目的としてGID社(ドイツ)に30%出資、25年7月にはGHEPI社およびHAPP社の株式を追加取得して完全子会社化した。また26年2月にはGHEPI社の社名をJSP Injection Moulding Solutions S.r.l.へ、HAPP社の社名をInjection Moulding Solutions GmbHへ、それぞれ変更した。

 26年3月期セグメント別業績は、押出事業の売上高が495億50百万円で営業利益(全社費用等調整前)が20億58百万円、ビーズ事業の売上高が959億05百万円で営業利益が66億33百万円だった。収益は販売数量、為替、原料価格と販売価格の差であるスプレッド、プロダクトミックスなどが影響する。

■新中期経営計画「Change for Growth 2026」

 長期ビジョン「VISION2027」の最終段階として、24年4月に新中期経営計画「Change for Growth 2026」(25年3月期~27年3月期)を策定し、基本コンセプトにグループ全体の収益力強化、発泡樹脂製品による社会への貢献、経営期間の強化を掲げている。

 定量目標は、27年3月期の売上高1600億円、営業利益100億円、営業利益率6.3%、経常利益104億円、親会社株主帰属当期純利益73億円、自己資本利益率(ROE)7.0%以上(中長期的には8%以上)としている。セグメント別の目標は、押出事業が売上高540億円、営業利益(全社費用等調整前)26億円、営業利益率4.8%、ビーズ事業が売上高1060億円、営業利益86億円、営業利益率8.1%としている。前提条件は、為替が140円/米ドル、150円/ユーロ、20円/人民元、ドバイ原油価格が90米ドル/バーレルである。3期累計の投資額は300億円(押出事業60億円、ビーズ事業210億円、共通30億円)の計画としている。収益力の強化により売上高、営業利益とも過去最高を目指す。なお株主還元方針を見直し、配当性向35%以上を目安とする。

 収益力強化に向けた取り組みとしては、グローバルニッチのマーケットリーダーとしてのさらなる競争優位性の追求、4つの成長エンジンを中心とした収益性の高い成長分野への集中投資、ARPRO事業の自動車部品分野および非自動車部品分野への拡販、高まる環境ニーズに対する環境対応型製品の拡販による差別化、高付加価値製品の拡販や生産性向上によるコストダウンおよび適切な価格転嫁の実施を推進することにより、収益の最大化を図り、資本効率の向上を目指すとしている。

 なお4つの成長エンジンは、ビーズ事業におけるARPRO(アープロ)事業、押出事業における建築住宅断熱材、押出事業におけるFPD表面保護材、および新事業領域である。ARPRO事業(発泡ポリプロピレン「ピーブロック」の製品名を全世界でARPROに統一)は、インドやメキシコ北部への進出、環境対応型製品や非自動車部品分野(空調システム分野等)への用途拡大、ブランド戦略推進による増販などにより販売数量23%増(24年3月期比)を目指す。ARPROは自動車軽量化要求に対応する製品として採用が拡大しているほか、非自動車分野として北米では競技用グランド基礎緩衝材用途、欧州ではHVAC(空調システム)用途などへの採用が広がっている。

 建築住宅断熱材は、ミラフォームラムダやプレカット品など高付加価値製品の拡販により、販売数量15%増(24年3月期比)を目指す。FPD表面保護材は市場の高い成長性に加え、市場ニーズに対応した高付加価値製品の開発・拡販や新規顧客獲得により、販売数量21%増(24年3月期比)を目指す。新規事業領域は、出資する射出成形事業会社の売上規模拡大や国内開発案件(ブロー品など)の事業化に向けた取り組みを推進し、27年3月期売上高50億円を目指す。

 25年2月には、4つの成長エンジンのうちの新事業領域におけるCOREDUAL製品の市場拡大に向けた取り組み強化をリリースした。FOAMCORE技術を用いた製品の販路拡大が見込まれるため、2025年4月より製品名称をCOREDUALとし、営業部門と連携を強化して拡販に注力する。COREDUALはブロー成形とビーズ成形を1つの金型で同時に行い、外皮と芯材を一体成形することで軽量かつ強度、断熱性に優れるという特徴がある。これまでは住宅資材用途を中心に展開してきたが、最近では自動車部品分野や建築・土木分野等にも用途が拡大している。

 25年12月にはインドのプネ工場およびメキシコのラモス・アリスペ工場が操業開始した。両地域においては自動車部品用途をはじめとするARPROの需要拡大を見込んでいる。そして今回の生産拠点の操業により、世界22拠点でARPROの生産が可能になった。

■サステナビリティ経営やコーポレート・ガバナンスも強化

 サステナビリティ経営やコーポレート・ガバナンスも強化している。21年4月にサステナビリティ推進室を新設、21年12月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明した。また25年7月には、押出法ポリスチレンフォーム(XPS)軽量盛土材スチロダイアブロック「DXグレード」について、EPD(環境製品宣言)の一つである「EPD Hub」を取得した。今後も環境対応型製品による社会課題解決への貢献、グループ全体でのGHQ排出量削減、人的資本に対する取り組みを強化する方針だ。

 26年3月には、グループ会社のJSPパッケージングが供給する「資源循環の実証に向けた『ミラピールⓇ容器』」に使用されるスチレンシートを、同社が原材料として供給するとりリースした。関係各社と連携したクローズドな循環モデルの実証実験において活用される。

■27年3月期は不透明感を考慮して減益予想だが保守的

 26年3月期の連結業績は売上高が前期比2.3%増の1454億56百万円、営業利益が12.7%増の77億65百万円、経常利益が10.7%増の80億92百万円、親会社株主帰属当期純利益が特別利益(退職給付制度改定益3億94百万円)計上も寄与して30.3%増の66億02百万円だった。配当は前期比10円増配の90円(第2四半期末40円、期末50円)とした。配当性向は35.7%である。

 高付加価値製品が好調に推移し、前回予想(26年1月30日付の上方修正値、売上高1430億円、営業利益70億円、経常利益74億円、親会社株主帰属当期純利益58億円)を上回る2桁増益で着地した。営業利益9億円増益の要因分析は、販売数量・限界利益で12億円増益、販売単価(高付加価値製品の販売増加)で9億円増益、変動費で3億円減益、固定費(人件費や生産設備維持費などの増加)で9億円減益、為替要因で0億円減益だった。

 押出事業は売上高が0.3%増の495億50百万円、営業利益(全社費用等調整前)が25.1%増の20億58百万円だった。全体として販売数量は減少したが、一般包材および建築・住宅分野向けの高付加価値製品が好調に推移して大幅増益だった。

 ビーズ事業は売上高が3.3%増の959億05百万円、営業利益が4.1%増の66億33百万円だった。増収増益だった。売上面では中国および台湾での販売が好調に推移し、利益面では発泡ポリプロピレン「ARPRO」を中心とする高機能材製品の販売増加、固定費削減が寄与した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が343億92百万円で営業利益が12億53百万円、第2四半期は売上高が359億15百万円で営業利益が18億23百万円、第3四半期は売上高が383億33百万円で営業利益が30億32百万円、第4四半期は売上高が368億16百万円で営業利益が16億57百万円だった。

 27年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比12.7%増の1640億円、営業利益が9.9%減の70億円、経常利益が11.0%減の72億円、親会社株主帰属当期純利益が24.3%減の50億円としている。配当予想は前期比10円増配の100円(第2四半期末50円、期末50円)としている。連続増配で予想配当性向は52.4%となる。

 営業利益8億円減益の要因分析(計画)は、販売数量・限界利益(国内需要減少だが北米・欧州で販売数量増加)で6億円増益、販売単価(変動費上昇分の価格転嫁)で103億円増益、変動費(原油高や販売運賃高による原材料価格高騰)で104億円減益、固定費で15億円減益、為替要因・調整他で2億円増益としている。前提条件は、為替レートが1米ドル=160円、原油価格(ドバイ)が90~100米ドル/バーレルとしている。

 押出事業は売上高が4.9%増の420億円で、営業利益(全社費用等調整前)が41.7%減の12億円の計画としている。売上面は、物価高騰に伴って一般包材分野や建築・住宅分野向け断熱材の需要減少を見込むが、生活資材製品やFPD用表面保護剤の需要が堅調に推移し、全体として増収を見込む。利益面は物価高騰の影響を見込む。

 ビーズ事業は売上高が16.8%増の1120億円、営業利益が4.0%増の69億円の計画としている。売上面は発泡ポリプロピレン「ARPRO」を中心とする高機能材製品の販売増加や、製造コスト上昇に伴う製品価格改定で増収を見込む。利益面は原料価格高騰や労務費増加を増収効果でカバーする見込みだ。

 27年3月期は原材料・エネルギーコストの不透明感などを考慮して減益予想としているが保守的だろう。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末対象、26年3月末対象から一部変更

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として、一律3000円相当の社会貢献寄付金附きオリジナルクオカードを贈呈している。なお26年3月末対象から内容を一部変更し、継続保有期間に応じてクオカードを贈呈(継続保有1年以上はクオカード1000円分、継続保有期間3年以上はクオカード3000円分)する。

■株価は戻り試す

 株価は地合い悪化の影響を受けた直近安値圏から切り返して反発の動きを強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。5月22日の終値は2540円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS190円79銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の100円で算出)は約3.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4145円07銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約666億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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