クレスコ、27年3月期も増収増益・増配予想、各事業好調とM&A効果が寄与、自己株式取得・消却で株主還元強化

2026年5月20日 07:34

 クレスコ<4674>(東証プライム)は独立系システムインテグレータである。ビジネス系ソフトウェア開発や組込型ソフトウェア開発のITサービスを主力に、顧客のDXを実現するデジタルソリューションも強化している。26年3月期は増収増益と順調だった。ITサービス事業のエンタープライズが好調に推移し、エンタープライズにおける前期の不採算プロジェクトの影響一巡、デジタルソリューション事業におけるM&A効果なども寄与した。配当については増額修正した。そして27年3月期も増収増益・増配予想としている。各事業とも好調に推移する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式取得および消却も発表した。株価は決算発表を機に急反発した。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■ITサービスを主力としてデジタルソリューションも強化

 独立系のシステムインテグレータで、ビジネス系ソフトウェア開発や組込型ソフトウェア開発のITサービスを主力としている。さらに成長戦略として顧客のDXを実現するデジタルソリューションも強化している。

 セグメント区分は、ITサービス(エンタープライズ、金融、製造の各分野のコンサルティング・開発・保守の総合サービス)と、デジタルソリューション(自社製品Creage、インテリジェントフォルダなど、顧客のDXを実現する製品・サービスからなるソリューション群)としている。

 26年3月期のセグメント別業績は、ITサービス事業が売上高553億64百万円で営業利益(全社費用等調整前)80億39百万円、デジタルソリューション事業が売上高93億12百万円で営業利益8億15百万円だった。ITサービス事業の内訳は、エンタープライズが売上高240億08百万円で営業利益32億96百万円、金融が売上高174億27百万円で営業利益22億08百万円、製造が売上高139億28百万円で営業利益25億34百万円だった。収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性がある。

■M&A・子会社再編

 M&A・アライアンスおよびグループ子会社再編では、23年2月に日本ソフトウェアデザイン(JSD)を子会社化、23年3月にフォーラムエンジニアリング<7088>およびインドのSRM Globalとの3社共同でフォーラムエンジニアリングのインド現地法人コフナビインディア社(22年10月設立)に出資、23年9月に飲食業界のDX推進支援の拡大に向けてベトナムのレストラン&リテールテックスタートアップ企業CAPICHI社と資本業務提携、23年12月にセキュアイノベーションと資本業務提携、24年4月にジェット・テクノロジーズを子会社化、24年6月に子会社クレスコ ワイヤレスの全株式を譲渡した。

 24年7月には同社、連結子会社のJSDおよびメクゼスの3社の組織再編を実施した。メクゼスがJSDを吸収合併(合併後の商号はメクゼス)するとともに、同社がJSDの一部事業(JSDが名古屋営業所において営む事業の全て)を譲り受けた。24年10月にはクレスコ・ジェイキューブが高木システムを子会社化、25年4月にはクレスコ・ジェイキューブが高木システムを吸収合併、25年10月にはクレスコ北陸がエイプスを子会社化、クレスコ・ジェイキューブがアイエステクノポートを子会社化、26年4月には工場・倉庫向け制御システムに強みを持つオフィスメーションを子会社化した。

■デジタルソリューションや自社オリジナル製品を拡大

 オリジナル製品・サービスではIoTのKEYAKI、AIのMinervae、クラウドのCreageを3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 23年10月にはホテルの部屋割り業務最適化ツール「RooMagic」をリリース(JR九州ホテルズで導入)した。23年11月には歯のパノラマレントゲン画像から個々の歯を識別する情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムの特許を取得した。24年8月にはホテルの部屋割り業務最適化ツール「RooMagic」の新バージョンをリリース(横浜ベイシェラトンホテル&タワーズで導入)した。

■働き方改革や健康経営を推進

 24年4月に発表した新中期経営計画2026(24年度~26年度)では、成長に向けた方向性として「IT・技術を通じて顧客の競争優位性を創出し、ともに社会を前進させるデジタル価値創造企業を目指す」を掲げた。目標値としては30年までに売上高1000億円企業を目指し、27年3月期売上高700億円、営業利益80億円、営業利益率11.5%、ROE15%を掲げた。配当性向は25年3月期より40%に引き上げる。またサステナビリティ経営関連の目標としては女性管理職比率13%、エンゲージメントスコア70などを掲げた。

 重点戦略としては、共創型モデル確立、品質リーダーシップ発揮、人的資本経営推進、技術・デジタルソリューション拡張、事業連携促進、デジタル変革実現、グループ一体経営を掲げた。

 事業別戦略としては、ITサービス事業のエンタープライズ分野ではワンストップサービスの提供拡大・効率化、主力業界の深耕、エンタープライズ領域のさらなる拡大、新しい価値のサービスの顧客との共創、金融分野ではバックエンド領域の拡大、データ連携・処理技術(ミドルウェア)の強化、共創をテーマとした業務推進、さらなるデータ利活用、業務知識の強化・法規制対応、製造分野ではインフォテインメント系の統合・充実、サイバーセキュリティ対応・セーフティな製品設計、モビリティ領域への集中、モビリティサービスの実装、顧客企業のITケイパビリティ強化、デジタルソリューション事業ではクラウド・オートメーション領域の継続的なアップデートへの取り組み、プリセールス・カスタマーサクセスの強化、経営課題の解決に寄与するソリューションの拡充、クレスコブランドのデジタルソリューション開発・実装、ブランド力向上による業界内の地位確立を推進する。24年7月にはグループ内AI技術活用等に取り組む仮想組織「生成AIビジネス変革研究室」を設立、25年7月には新たな開発拠点「Teq-C」を開設した。

 25年5月には子会社アイオスが三菱UFJ信託銀行と、システム開発とそれに付帯関連するIT技術者の長期的・安定的な確保を目的として、10年間のパートナーシップ基本合意書を締結した。25年8月には子会社クレスコ・イー・ソリューションが、セゾンテクノロジーによるERPモダン化共同推進に技術パートナーとして参画した。25年11月には「AI駆動開発コンソーシアム」に賛同企業として参画した。26年4月には同社の生成AI環境構築サービスが、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)による技術レビュー「AWSファンデーショナルテクニカルレビュー」の認定を取得した。

 健康経営・社会貢献関連では、25年9月には大学生や専門学校生向けIT体験イベント「Sapporo IT CAMP 2025」にサポート企業として参画した。25年10月には厚生労働省が定める「女性の職業生活における活躍状況が優良な企業」として最高位である「えるぼし認定」の三ツ星を取得した。26年3月にはスポーツ庁が認定する「スポーツエールカンパニー2026」に認定(4年連続)された。また同社および連結子会社のグループ計8社が、経済産業省と日本健康会議が選定する健康経営優良法人認定制度に基づく「健康経営優良法人2026」に認定された。同社は19年から7年連続の認定となる。

■26年3月期増収増益・増配、27年3月期も増収増益・増配予想

 26年3月期の連結業績は、売上高が前期比10.1%増の646億76百万円、営業利益が10.4%増の66億05百万円、経常利益が11.0%増の69億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が19.8%増の52億79百万円だった。配当については5月8日付で期末6円増額修正して、前期比22円増配の64円(第2四半期末29円、期末35円)とした。連続大幅増配で配当性向は49.3%となる。

 増収増益・増配と順調だった。ITサービス事業のエンタープライズが好調に推移し、エンタープライズにおける前期の不採算プロジェクトの影響一巡、デジタルソリューション事業におけるM&A効果なども寄与した。なお特別利益で投資有価証券売却益6億41百万円を計上(前期は1億73百万円計上)した。

 ITサービス事業は売上高が2.4%増の553億64百万円、営業利益(全社費用等調整前)が4.7%増の80億39百万円だった。

 内訳として、エンタープライズは売上高が8.9%増の240億08百万円、営業利益が31.9%増の32億96百万円だった。増収・大幅増益だった。主として情報・通信・広告分野においてアプリケーション開発支援業務が増加したほか、前期に人材紹介・人材派遣分野で発生していた不採算プロジェクトが収束したことも寄与した。

 金融は売上高が1.5%増の174億27百万円、営業利益が7.7%減の22億08百万円だった。増収・営業減益だった。利益面は、その他分野の子会社における不採算プロジェクト発生が影響した。

 製造は売上高が7.3%減の139億28百万円、営業利益が9.0%減の25億34百万円だった。減収減益だった。機械・エレクトロニクス分野におけるメーカーの製品開発プロジェクト中止・延期の影響を受けた。

 デジタルソリューション事業(ライセンス販売など)は、売上高が99.1%増の93億12百万円、営業利益が4.9倍の8億15百万円だった。製品・ライセンスの販売や導入支援が大幅に増加したほか、M&A効果(高木システム、エイプス、アイエステクノポート)も寄与した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が150億80百万円で営業利益が10億14百万円、第2四半期は売上高が158億72百万円で営業利益が17億06百万円、第3四半期は売上高が162億50百万円で営業利益が18億98百万円、第4四半期は売上高が174億74百万円で営業利益が19億87百万円だった。

 27年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比10.5%増の715億円、営業利益が21.1%増の80億円、経常利益が17.5%増の82億円、親会社株主帰属当期純利益が4.8%増の55億30百万円としている。配当予想は前期比6円増配の70円(第2四半期末35円、期末35円)としている。連続大幅増配で予想配当性向は51.1%となる。なお株主還元については25年5月9日付で配当方針の変更を発表し、26年3月期より配当性向の目処を従来の40%から50%へ引き上げるとともに、中間配当を実施した。

 27年3月期も各事業とも受注が好調に推移し、人件費増加などを吸収する見込みだ。ITサービス事業の金融で前期発生した不採算プロジェクトの影響が一巡し、前期低調だった製造では26年4月1日付で子会社化したオフィスメーションも寄与する。なお中期経営計画2026で掲げた目標値(27年3月期売上高700億円、営業利益80億円)を達成する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は急反発

 なお26年5月8日付で自己株式取得および消却を発表した。自己株式取得は上限100万株または20億円で取得期間26年5月11日~26年11月30日としている。消却は100万株で、予定日は自己株式取得完了後に改めて公表する。

 株価は決算発表を機に急反発した。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。5月19日の終値は1580円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS136円90銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の70円で算出)は約4.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS828円81銭で算出)は約1.9倍、そして時価総額は約664億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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