アイリッジ Research Memo:新たな成長ドライバーの確立で利益は急拡大局面

2026年5月18日 10:55

*10:55JST アイリッジ Research Memo:新たな成長ドライバーの確立で利益は急拡大局面
企業向けスマホアプリの企画・開発・運用支援やアプリビジネスプラットフォーム「APPBOX」の開発・運営、統合マーケティング支援やビジネスコンサルティング・実行支援などを手がけるアイリッジ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0391700?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3917></a>が変化の時を迎えている。先行投資の成果が顕在化し始め、2027年3月期には前期に続いて大幅な利益成長が見込まれる。ヤプリの評価に収れんすれば、3倍近い株価の上昇も期待される。AI駆動開発ソリューションを2026年6月にリリース予定であるなど、生成AIの普及を活かした事業展開と更なる成長加速の度合いにも注目しておきたい。

EX-DX領域は2倍超のペースで急拡大、新たな成長ドライバーを確立

1. 2026年3月通期の業績概要
2026年3月通期の売上高は前期比5.6%増の7,084百万円、調整後営業利益は同5.1%減の246百万円となった。2025年7月1日付で株式譲渡を行った関係会社が営むフィンテック事業の実績を除外した数値は、売上高で前期比14.8%増の6,993百万円、調整後営業利益で同75.0%増の246百万円となる。想定していた大型案件がずれ込んだことから、フィンテック事業を除外した事前予想(売上高7,200百万円、調整後営業利益300百万円)を下回ったものの、大幅な増収増益基調で着地している。ディップ <a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0237900?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><2379></a> との共同事業の拡大でEX-DX(Employee Experience Digital Transformation:従業員が会社で働く中で経験する様々なことに関する課題を、スマートフォンアプリなどのデジタル技術を使って解決し、従業員の満足度を高める)領域が前期比269.0%増と全社成長を牽引し、新たな成長ドライバーが確立された。

2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期は、売上高8,200百万円(前期比15.8%増)、調整後営業利益500百万円(同103.2%増)が予想されている。経常利益は前期比約2.5倍増となり、4期ぶりの過去最高益更新が見込まれる。ディップとの共同開発サービス「バイトルトーク」をはじめとするEX-DX領域が通期を通じて本格寄与し、先行投資の回収フェーズへの移行がさらに顕在化する。案件パイプラインは増加基調であり、2027年3月期の目標達成の準備は整っているとされている。前期にはアプリビジネスプラットフォーム「APPBOX」において、急速に進展するAI技術への対応と中長期的な開発生産性の向上を目的とした基盤アーキテクチャの抜本的な刷新(リビルド)を実施。これに伴い、最新の生成AI機能を効果的に統合する上で制約となっていた旧資産に関連する過年度開発費計231百万円を固定資産除却損として一括計上し、コスト構造も軽量化している。

長期目標は2030年3月期で売上高150億円・調整後営業利益15億円

3. 中期経営計画と長期目標
同社は、小売・鉄道・金融業界等の大手企業を中心に強固な顧客基盤を有しており、ファミペイアプリやコーナンアプリ、【コスモの公式】アプリ、WESTERなど、いままで300を超えるスマホアプリの企画・開発・運用を支援してきた。同社ソリューションが導入されたアプリはMAUで1億を超え、増え続けている。ここまで大企業との取引・実績が多い背景には、スマホアプリを中心とした高度な開発力を有しており、同社プロダクト「APPBOX」や外部のソリューションも活用し、スマホアプリを中心に戦略・企画の策定から開発・グロースまで一気通貫で支援できる点にある。また、これまでの開発実績により多くのカスタマイズ・連携実績のノウハウが蓄積されており、あらゆる顧客要望に対応可能となっているほか、大型アプリの開発は開発力や実績が必要で、競合が少ない点も同社の強みとなっている。顧客企業の戦略から課題解決までトータルで支援してきた実績を活かして、ビジネスプロデュース事業も展開している。

また、5月8日にはAI駆動開発の課題を解決する「チーム開発支援AIエージェント」事業を開始すると発表されている。AI駆動開発の急速な普及に伴い、市場ではセキュリティや品質、AI利用コスト面での課題が顕在化し始めている。現在主流のAIコーディング支援ツールは個人の生産性向上を主眼としているため、組織的な開発において求められるセキュリティガバナンス、レビュー品質の標準化、そしてチーム規模の拡大に比例して増大するAI利用コストへの対応が追いついておらず、企業の本格的なAI導入を妨げる要因となっている。AI駆動開発の急速な普及に伴う「チーム開発における壁」が企業の成長を阻む大きな障壁となっているという認識のもと、個人の支援に留まらない、組織全体の開発パフォーマンスを最大化するソリューションを提供することとなった。生成AIを活用したDXサービスの提供など、アプリ領域を越えた新たな価値を創出してきた同社の事業展開と更なる成長加速の度合いにも注目しておきたい。

なお、2027年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画では、開発力やビジネス創出力の活用と顧客企業とのパートナーシップの強化による顧客提供価値の向上に取り組む。APPBOXの機能拡張に加えパートナー連携を強化することで、顧客層を拡大し、受託開発領域から顧客企業のアプリ領域を中心とした事業プロデュース支援へ拡張していく。既に、ディップとの提携を行っており、DXサービスの共同提供を図っている。今後も顧客企業と同様の提携を拡大することで、強いパートナーシップの実現を目指す。また、博報堂と資本業務提携を実施し、合弁会社を設立。アイリッジの持つ大型のアプリ開発を遂行するプロジェクトマネジメント力及び開発力と、博報堂が持つ生活者接点全体をデザインするクリエイティビティを掛け算し、顧客接点を中心としたデマンドチェーン変革に向けて協業する。大企業との連携強化には注目しておきたい。数値目標としては、2027年3月期の売上高は82億円、調整後営業利益は5億円以上をオーガニック成長のみで達成し、新規事業の成長やM&Aにより売上・利益を更に積み上げていくようだ。長期目標には2030年3月期に売上高150億円・調整後営業利益15億円の達成を掲げている。

4. 株価
ヤプリ <a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0416800?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4168></a> と比較した成長率などは劣ってきたが、中長期計画とそれに次ぐ長期目標の達成へ歩を進めると、アイリッジのパフォーマンスが比較優位となる可能性もある。ヤプリの2030年12月期へ向けての調整後EBITDA目標は20億円、今期予想と比較した場合のCAGRで+16%ということになる。アイリッジの調整後営業利益は2030年3月期に15億円、同CAGRで+44%と絶対的な数値でも見劣りせず、成長スピードは上ということになる。ヤプリの時価総額は約95億円であり、アイリッジのそれは約38億円。ヤプリの評価に収れんすれば、3倍近い株価の上昇となる。

(執筆:フィスコアナリスト 山本泰三)《HN》

最新記事