クリーク・アンド・リバー社、27年2月期は営業・経常増益予想、プロフェッショナル50分野構想が進展

2026年5月13日 07:46

 クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は、クリエイティブ分野を中心にプロフェッショナル・エージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、プロフェッショナル50分野構想を掲げて事業領域拡大戦略を加速している。27年2月期も営業・経常増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来安値圏でやや軟調だが売られ過ぎ感を強めている。高配当利回りなども評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開

 クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたプロフェッショナル・エージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、およびライツマネジメント(知的財産の流通)事業を展開している。

 事業領域としては8カテゴリ(ゲーム&ライツマネジメント、ブロードキャスティング&動画、プロモーション&マーケティング、メディカル&ヘルスケア、AI/DX・IT、プロフェッショナル・エージェンシー、Quality of Life、インキュベーション&デベロップメント)に展開している。26年2月期時点でプロフェッショナル数46.3万人、クライアント数5.7万社のネットワークを構築していることが強みだ。

 直近のM&A・アライアンスとしては25年3月にバンダイナムコエンターテインメントと合弁でモバイルゲーム開発のURS Gamesを設立した。また子会社のC&Rインキュベーション・ラボ(22年10月に投資・事業承継事業を行う子会社として設立、現C&R EVERLASTING STORY、以下:C.R.E.S.)が、T&Wオフィス(手帳・日記・書籍等の企画・編集・出版業を展開する高橋書店グループの持株会社、以下:高橋書店グループ)を子会社化した。さらに25年9月に子会社のプロフェッショナルメディアを吸収合併、25年10月に子会社のShiftallがDiver-Xの位置トラッキング技術「ContactTrack」に関する事業を買収、25年12月に同社およびC.R.E.S.がファンコミュニティ構築・運営大手のクオンと資本業務提携した。

■事業シナジー強化

 事業シナジーを見越した資本参加としては、バイオベンチャーのCO2資源化研究所、アグリベンチャーのプラントライフシステムズ、不動産仲介プラットフォームのエージェント・グロース(事業上の通称はケラー・ウィリアムズ・ジャパン)、弁護士保険のミカタ少額短期保険、NFT関連のブロックチェーンエンターテインメント事業を展開するシンガポールDEA社、子ども向けオンライン世界旅行のMimmyなどに出資している。

 なお投資・事業承継事業を行うC.R.E.S.は、高橋書店グループおよびクオンのほか、劇団運営および公演のYTJ、クラウドシングルサインオンのインターナショナルシステムリサーチ、デジタル商社のStandage、スポーツコンバインや人材紹介のF&V、食品原料Web売買プラットフォームのICS-net、毛髪再生医療・次世代インプラントのオーガンテック、エンジニア派遣のネクサスホールディングス、IPO・IRテックのUniforce、経営・IRコンサルのストラテジー・アドバイザーズなどに出資している。

■日本クリエイティブ分野が主力

 26年2月期(第2四半期より高橋書店グループのPLを新規連結)の分野別構成比は、売上高がプロデュース(開発・請負)47%、エージェンシー派遣28%、エージェンシー紹介10%、ライツマネジメント他16%、売上総利益がプロデュース41%、エージェンシー派遣18%、エージェンシー紹介28%、ライツマネジメント他14%だった。

 報告セグメント別構成比(調整前)は売上高が日本クリエイティブ分野64%、韓国クリエイティブ分野5%、医療分野9%、会計・法曹分野4%、CRES分野(事業承継等のアドバイザリー事業)10%、その他(新規事業)8%、営業利益が日本クリエイティブ分野59%、韓国クリエイティブ分野▲1%、医療分野29%、会計・法曹分野2%、CRES分野13%、その他▲2%だった。また日本クリエイティブ分野の領域別構成比は売上高が映像(テレビ・映画)30%、ゲーム41%、Web26%、電子書籍・版権3%、新規エージェンシー2%、その他▲1%、営業利益が映像22%、ゲーム44%、Web28%、電子書籍・版権10%、新規エージェンシー▲0%、その他▲4%だった。なおCRES分野は事業承継・M&A等を展開するC.R.E.S.を中心に、高橋書店グループを含めた全6社で構成されている。その他は新規事業等の18社で構成されている。

 事業領域8カテゴリ(同社10事業部門および34子会社)の構成比は、売上高がゲーム&ライツマネジメント29%、ブロードキャスティング&動画24%、プロモーション&マーケティング12%、メディカル&ヘルスケア9%、AI/DX・IT5%、プロフェッショナル・エージェンシー4%、Quality of Life4%、インキュベーション&デベロップメント13%、営業利益がゲーム&ライツマネジメント32%、ブロードキャスティング&動画15%、プロモーション&マーケティング14%、メディカル&ヘルスケア29%、AI/DX・IT3%、プロフェッショナル・エージェンシー1%、Quality of Life1%、インキュベーション&デベロップメント9%だった。

 収益面面の特性として、医療分野の収益は季節要因で第1四半期と第2四半期(特に第1四半期)に偏重する。また高橋書店グループの収益は、第2四半期(4~6月分を連結)が出版業界特有の商慣習によって出荷した商品の返品が集中する時期となるため営業損益が一時的に赤字となるが、第3四半期(7~9月分を連結)は手帳・カレンダーの出荷が本格化して売上高・営業利益とも大幅に増加する特性がある。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。

■プロフェッショナル50分野構想

 中長期成長戦略として「プロフェッショナル50分野構想」を掲げ、グループ資産を活用した商品・サービス・プロジェクト開発や事業領域拡大を推進している。株主還元については配当性向目標を30%水準としている。

 基本戦略としては、多岐にわたる専門分野を持つグループ会社が各事業の強みを伸ばしつつ、相互連携を通じてクライアントと社会に貢献する価値を創出する「連峰経営」を目指し、プロフェッショナル分野のさらなる深耕、プロフェッショナル人材をベースとしたプロデュース事業の展開、異分野のプロフェッショナルを掛け合わせたプロデュース事業の展開、経営人材を含むC&Rグループの営業資産を組み合わせた事業承継・M&Aを推進する。この4つの基本戦略に基づき、グループ会社相互の連携によるシナジー効果を高める。

 グループ資産を活かした商品・サービス・プロジェクトとしては、漫画家発掘・デジタル配信事業のプラットフォーム「漫画LABO」、クリニックの経営支援、メタバース関連のVR建築展示場「XR EXPO」、独自のVR映像配信技術を活用した低遅延VRリアルタイム配信システム・VR遠隔医療教育システム、AI需要予測「Forecasting Experience」、事業承継・M&A事業、アパレル分野のDXを支援する「sture(ストゥーラ)」、漫画に音楽や音声を融合した動画「モーションコミック」(プラットフォーム開発中)などがある。なお出資先である順天堂大学発ベンチャー企業ソラセンテスが開発する医用画像プログラム「TH―ZEY(ゼウス)」は、26年4月に一般財団法人日本品質保証機構(JQA)より医療機器認証を取得した。

 アグリカルチャー分野の子会社コネクトアラウンド(アグリテックを活用した新たな農業ビジネスを展開する目的で22年4月設立)は、23年2月に川崎市中原区で6次化農業・実習施設「FUN EAT MAKERS 武蔵新城」を開設した。また25年6月には福島県大熊町で農・食・滞在の複合施設「FUN EAT MAKERS in Okuma」をオープンした。26年1月末には福島県大熊町の複合施設「FUN EAT MAKERS in Okuma」の来場者数が1万人を突破した。

 日本最大級のクリエイティブ開発スタジオ「C&R Creative Studios」では25年12月にアニメ専門チームを組成した。国内AIアニメ制作のトップランナーであるPuriPrinceとの連携のもと、アニメ制作に課題を抱える企業に対して高品質なアニメ制作体制を提供する。26年2月には「C&R Creative Studios」のグローバル戦略の一環として、ゲーム開発分野における世界有数の外部開発サービスプロバイダーであるROOM 8 GROUPと両社の協業に関するLOI(意向表明書)を締結した。26年5月にはクリエイティブスタジオを移転・拡張した。

 AI/DX分野の深耕では、24年3月に開始した中堅・中小企業向けAI/DX運用・オペレーション業務導入サポート「DXの森」が順調に拡大している。24年9月にはAIチャットボットの提供を開始、25年6月には生成AIのプロフェッショナルに特化した人材サービスの提供を開始した。また26年4月には子会社リヴァイが、企業向け生成AI人材育成パッケージ「アイトレ」の提供を開始した。

■27年2月期営業・経常増益予想

 27年2月期の連結業績予想は売上高が前期比6.7%増の655億円、営業利益が6.8%増の52億50百万円、経常利益が7.3%増の51億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が17.8%減の33億50百万円としている。配当予想は前期と同額の50円(期末一括)としている。予想配当性向は31.6%である。

 カテゴリ別計画はゲーム&ライツマネジメントの売上高が5.2%増の188億円で営業利益が8.4%増の17億25百万円、ブロードキャスティング&動画の売上高が3.2%増の155億円で営業利益が8.0%増の7億77百万円、プロモーション&マーケティングの売上高が5.9%増の82億円で営業利益が10.5%増の7億50百万円、メディカル&ヘルスケアの売上高が8.3%増の62億70百万円で営業利益が5.7%増の15億20百万円、AI/DX・ITの売上高が10.9%増の36億80百万円で営業利益が93.7%増の1億90百万円、プロフェッショナル・エージェンシーの売上高が6.4%増の25億円で営業利益が50.1%増の1億50百万円、Quality of Lifeの売上高が7.1%増の28億40百万円で営業利益が74.5%増の1億25百万円、インキュベーション&デベロップメントの売上高が21.8%増の97億45百万円で営業利益が50.1%増の6億80百万円としている。

 親会社株主帰属当期純利益は前期の一過性要因が剥落して減益だが、売上高は各事業が順調に成長して増収、営業利益と経常利益はクリエイティブスタジオ機能移転・拡張に伴うコスト増加などを吸収して増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は26年2月期末より導入

 25年10月に株主優待制度導入を発表した。毎年2月末日時点で1単元(100株)以上保有株主に対して、同社の子会社である高橋書店の商品(カレンダー、手帳等の選択制)を贈呈する。26年2月28日対象より実施した。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は年初来安値圏でやや軟調だが売られ過ぎ感を強めている。高配当利回りなども評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。5月12日の終値は1291円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円32銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約3.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS902円86銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約297億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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