【どう見るこの株】スクロールは連日の年初来高値、連続大幅増配の権利取りをV字回復業績がサポート

2026年5月12日 08:29

 スクロール<8005>(東証プライム)は、前日11日に108円高の1705円と続急伸して引け、取引時間中には1805円まで買い進まれる場面があり、連日で年初来高値を更新した。同社株は、前週7日に3月期決算を発表し、今2027年3月期配当を記念増配を含めて年間102円(前期実績59円)と連続の大幅増配と予定し、同時に今期純利益をV字回復と予想したこともサポートして配当権利取りが増勢となった。株価は、翌日の前週8日には連続大幅増配で配当利回りが、東証プライム市場の高配当利回りランキングのトップ10入りすることを手掛かりにストップ高しており、それでもPERは13.4倍となお市場平均を下回って割安として買い増勢となった。

■今期純利益はのれん損失・事業撤退損失の一巡で55%増益予想

 同社の今期配当の大幅増配は、株主還元の基本方針を変更したことに基づいている。すでに累進配当制度は導入済みであったが、さらに連結配当性向60%、連結純資産配当率(DOE)8.5%のいずれか高い方を基準として配当とすることを取締役会で決議した。前2026年3月期の年間配当は59円(前々期実績51.5円)に連続増配されたが、これは連結配当性向が73.1%、DOEが5.4%となっており、今期の普通配当は、DOE8.5%をベースに年間97円に引き上げ、さらに東証1部上場40周年の記念配当5円を上乗せして年間102円に大幅連続増配を予定している。配当利回りは、連日の年初来高値追いでもなお5.98%と東証プライム市場の高配当利回りランキングの第14位にランクインしている。

 一方、今2027年3月期業績は、売り上げ900億円(前期比1.6%増)、営業利益61億円(同6.5%増)、経常利益65億円(同5.4%増)、純利益43億円(同55.3%増)と連続増収、増益転換を見込み、とくに純利益はV字回復する。EC・通販事業者を360度サポートする「ワンストップソリューション」のソリューション事業で物流代行、決済代行が続伸し、SNS向けのマーケティングサービスを拡充することや通販事業でも前期の天候不順の影響が一巡することなどが寄与する。なお今期純利益は、前期に計上した子会社ののれん減損損失やeコマース事業で不採算事業の並行輸入品EC販売や旅行企画販売から撤退した事業撤退損失など10億600万円が一巡してV字回復する。

■約36年ぶりの高値水準に急浮上し史上最高値も意識

 株価は、前期業績の2回の下方修正も自己株式取得や累進配当制度導入などで持ちこたえ、今年3月には期末の配当権利取りで1394円をつけ、配当権利落ちとともに年初来安値1247円へ調整した。今回の決算発表・大幅増配ではストップ高を交えて500円幅の急伸となったが、それでもPERは13.4倍、配当利回りは5.98%と割安である。1989年9月につけた1850円高値に約36年ぶりに迫ってきたここからは、同高値をブレークして1984年の史上最高値2360円を意識する展開も想定される。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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