相場展望5月11日号 米国株: トランプ共和党の負増加、イラン停戦交渉・海峡封鎖は長期化 日本株: 5/7は+3,320円と大幅高、海外短期筋の利益確定売りに注意
2026年5月11日 13:38
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)5/7、NYダウ▲313ドル安、49,596ドル
2)5/8、NYダウ+12ドル高、49,609ドル
●2.米国株: トランプ共和党が抱える負が増加、イラン停戦交渉・海峡封鎖は長期化必至
1)中間選挙まで6ヵ月を切ったが、トランプ共和党が抱える負の話題が増加
・トランプ支持者が分裂
・イラン戦争(トランプ大統領の公約は「戦争しない」)
・エプスタイン問題(トランプ大統領は捜査資料の公開に賛成、今は異議)
・物価上昇(今の物価上昇はインフレ加速と認めていない)
・ローマ教皇レオ14世への非難
・イエス・キリスト風の像をSNS投稿
・政府支出の削減(政府効率化省で削減に取り組むも、途中で放棄)
・減税が偏る(低所得者層には新たな減税なし、富裕層には新規減税)
・MAGA政策への忠実さが足りない(外国援助なし、対外関与なし、戦争なし、エプスタイン文書公開)
2)トランプ関税、相次いで違法判決
1)違法判決の事例
(1)国際緊急経済権限法に基づく「相互関税」が2月に違法判決。
(2)これに代わる通商法122条による10%関税も5/7に違法判決。深刻な国際収支赤字を解消するために、最大150日間・15%以内の関税を課すを背景に、全世界を対象に課した10%のグローバル関税。ただし、訴訟を提起した輸入業者に限り関税の禁止と還付を命じた。トランプ政権は不服として5/8、連邦高裁に上訴した。
2)まだ生き残っている関税
(1)通商法301条(相手国の不公正な貿易慣行に対応して関税を課す)
(2)通商拡大法232条(国家安全保障を理由に特定項目の輸入制限や関税を課す)
自動車・鉄鋼・アルミニウム・銅などは既に適用されている。
3)イラン停戦交渉は長期化必至
(1)米国軍の動静
・米国中央軍は5/7、ホルムズ海峡からオマーン湾に向かっていた3隻のミサイル駆逐艦がイランの攻撃を受けたと発表した。
・米国軍、F18でイランのタンカー攻撃、煙突に精密誘導弾を撃ち込み航行不能に。
(2)イランの対応
・イランも5/7、石油タンカーなど2隻の船舶が米国から攻撃されたと表明した。
・イラン、石油タンカーを拿捕、UAEにミサイル攻撃と5/8イラン国営メディア報じる。(ABEMA)
(3)先に攻撃したのは相手だと双方が主張した。
(4)停戦交渉に向けて双方が非難の応酬
・トランプ氏「5/8夜にイランの回答が来るはず」と期待感を示す。一方、イランは「まだ検討中」と期限は気にしない。
・衝突が再燃し、緊張が再び高まっている。トランプ氏、「イランが合意しなければ、巨大な閃光を目にする」と圧力。
・イラン、米国提案に対する回答をパキスタンに送付。焦点は、戦闘終結への進展があるか?
(5)トランプ氏の特徴は「ゴールポストを動かす」
・トランプ氏は5/11、「イランの回答は受け入れられない」とSNSに投稿。
・イラン側は、(1)イラン港湾の封鎖解除で戦闘停止、(2)ホルムズ海峡の段階的開放とするが、(3)核関連については十分な回答をしなかったようだ。
・トランプ氏は、過去「ディール」と称して「ゴールポストを動かしてきた」。「中間選挙」を優位にするため、「ゴールポストを動かす」可能性がある。
・イランはトランプ氏の弱点を突いて、交渉を長引かせた方が有利だと認識して対処していると思われる。ただ、双方ともに自己主張している段階であり、交渉疲れしていない。むしろ、トランプ氏は「焦り」出している。米国・イラン双方が、疲れきった段階で「停戦合意」が見えてくる。停戦時期は、秋口まで待つことも視野にしておくべきだろう。
4)原油価格の高騰が、米国インフレを加速中
・ガソリン価格が+19%急騰し、3月の消費者物価指数が前年比+3.3%上昇。
・米国インフレの上昇は、堅調な米国雇用情勢に冷や水を浴びせている。
5)1~3月期決算発表シーズンは今週まで、今後は好材料なくるため注意
・好決算発表という好材料が今週までとなる。
●2.イラン、カーグ島沖で石油流出が拡大、回収困難、環境破壊に懸念(共同通信)
1)流出量が約8万バレルに及び、今後2週間で対岸のアラブ諸国に到達の可能性。軍事的緊張が続く中、回収は困難とみられ海洋生態系の破壊や漁業への悪影響が懸念される。住民生活を支える海水淡水化施設などにも被害が及ぶ可能性がある。
2)考えられる要因
(1)損壊したイランの石油貯蔵施設からの漏洩。
(2)イラン本土の油田とカーグ島を繋ぐ海中パイプラインの損壊。
(3)貯蔵施設が満杯になりつつあり、イランが意図的に放出。
●3.米国4月雇用統計は、景気動向を敏感に反映する「非農業部門の就業者数」が前月に比べて+11.5万人増となり、予想+6.2万人増を上回った(TBS)
1)失業率は4.3%で、前月から横ばい。
2)イラン情勢の影響で物価上昇圧力が高まる中、労働市場の堅調さが示された格好で、市場では連邦準備理事会(FRB)は当面、利下げを見送るとみられる。
●4.米国フリーダム作戦、サウジアラビアに事前通告なく米国に激怒、中止の理由か(読売新聞)
1)ホルムズ海峡での船舶誘導作戦を中止したのは、事前通告がなかったサウジアラビアが激怒し、サウジ国内の空軍基地使用や領空通過を認めないと米国軍に伝えたことがきっかけだと、米国NBCが5/6に報じた。
2)ペルシャ湾で足止めされた船舶の通航を支援する米国軍の作戦は5/4に始まり、5/5にトランプ大統領が中止を発表した。イランとの戦闘終結に向けた協議の進展を理由に挙げたが、実際は湾岸諸国との調整不足が原因だった可能性がある。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)5/7、上海総合+19高、4,180
2)5/8、上海総合▲0.14安、4,179
●2.中国、4月の輸出は+14.1%増、米国や東南アジア向け輸出伸びる(TBS)
1)中国の全世界への輸出額は3,594億ドル(約56兆円)、前年同月比+14.1%増。東南アジア向けが+15.2%増、米国+11.3%増。
2)輸入は2,746億ドル(約43兆円)で、前年同月比+24.3%増。東南アジア向けが+15.2%増、米国+11.3%増。ただ、原油輸入量は3,847万トンで、およそ▲20%減。
●3.中国の元国防相2人に執行猶予付き死刑判決、汚職事件で起訴(日テレ)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)5/7、日経平均+3,320円高。62,833円
2)5/8、日経平均▲120円安、62,713円
●2.日本株: 5/7は3,320円と大幅高したが、海外短期筋の利益確定売りに注意
1)日経平均寄与上位
(1)5/7、日経平均+3,320円高、寄与上位5銘柄+2,125円高、占有率64.00%
寄与上位 寄与額 上昇率
ソフトバンクG +805円高 +18.44%高
アドバンテスト +459 + 6.83
東京エレクトロン +429 + 9.00
ファーストリテイ +231 + 3.94
イビデン +201 +22.43
合計 +2,125
・米国半導体関連株高が波及して、日本株でも関連銘柄の上昇が目立っている。
(2)5/8、日経平均▲120円安、寄与上位5銘柄▲414円安、占有率345.00%
寄与上位 寄与額 下落率
ソフトバンクG ▲236円安 ▲4.56%安
ファーストリテイ ▲ 61 ▲1.00
イビデン ▲ 58 ▲5.25
信越化学 ▲ 39 ▲3.00
中外製薬 ▲ 20 ▲2.41
合計 ▲414
・日経平均は▲120円安の中、東京エレクトロン+73円高、ファナック+70円高、アドバンテスト+41円高、リクルート+35円高、キオクシア+25円高と上昇上位5銘柄で+244円高と押し上げた。
・AI・半導体関連株で、上昇・下落し2極化が進んだのが目立つ。
2)株価指数の上昇・下落率(前営業日比)
・ 日経平均 TOPIX 日経400 グロース250
5/07 +5.58%高 +3.00%高 +3.18%高 +2.58%高
5/08 ▲0.19%安 ▲0.29%安 ▲0.25%安 +4.71%高
3)NT倍率が5/8、16.37倍に上昇し過去最高⇒過熱感を示唆
・NT倍率=日経平均株価÷東証株価指数(TOPIX)。
・NT倍率の推移
3/02 14.89
4/01 14.64
4/16 15.60
5/01 15.96
5/08 16.38
4)値上がり・値下がり、新高値・新安値の銘柄数の推移⇒「全面高」とは言えず
・ 値上がり 値下がり 日経平均 新高値 新安値
5/07 1,190 349 +3,320円 129 84
5/08 712 819 ▲120 91 127
・5/7は、日経平均が+3,320円高と大幅高したが、東証全体では約24%の銘柄が値を下げており、とても「全面高」とは言えない。
・この大幅高も、海外短期筋の牽引によるものであるため、利益確定売りが待ち受ける可能性が高いと思われる。
5)今週の決算発表
(1)主な決算発表スケジュール
5/11 JX金属、イビデン、住友鉱
5/12 三菱重、住友電、古河電、川崎重
5/13 ソフトバンクG、三井住友FG、レゾナック、三井金属、SCREEN
5/14 フジクラ、SMC、大成建
5/15 キオクシア、三菱UFJ
(2)その他
5/14~15 トランプ米国大統領の訪中国で、習近平・国家主席との首脳会談
●3.ニコン、2026年3月期純損益は▲860億円と過去最大の赤字、金属3Dプリンターで巨額減損
1)2027年3月期純損益は+100億円の黒字化を見込む。(共同通信)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・5929 三和 株価回復期待
・6367 ダイキン 業績堅調
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