日経平均6万円時代、相場の不確実性に備える累進配当株戦略

2026年5月10日 17:39

●日経平均株価が6万円の新たなステージへ

 日経平均株価が4月27日に6万537円36銭をつけ、終値で史上初の6万円の大台を突破した。イラン情勢が依然として不透明な中での最高値更新だけに、相場の腰の強さが改めて浮き彫りになった形だ。

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 株式市場は、日経平均株価6万円時代という新たなステージに移ったが、そうなると心配されるのが、突発的な悪材料による株価の急落である。そこで値上がり益ではない安定した配当収入を目指す「累進配当株投資」に着目したい。

●累進配当とは何か

 累進配当とは、業績好調な年は増配し、減益になった場合でも前年の配当は維持するという配当方針を指す。

 連続増配株の場合は増配が途切れれば減配になるリスクがあるが、累進配当は最低でも前年の配当金額は維持してくれる分安心感がある。

 特に年金生活の不足分を配当金で補っている投資家にとっては、減配になると生活にも響く。累進配当株のみでポートフォリオを組めば、配当収入の安定化にはつながるだろう。

●累進配当の実施事例

 最近は株主還元強化の一環として累進配当を宣言する企業も増えている。一例として三菱商事のケースを見ておこう。

 三菱商事はすでに公表している「経営戦略2027」の中で、株主還元として「累進配当+機動的な自己株式取得とする基本方針を維持する」と宣言している。

 当面2027年までは累進配当を維持するとしているが、それを可能にするのが同社の持つ潤沢な利益剰余金である。

 利益剰余金の額は、2025年12月現在で実に約6兆7,000億円に積み上がっている。これだけの剰余金があれば累進配当を中止する可能性は低いと考えてよいだろう。

●恒久的な配当方針ではない点に注意が必要

 インカムゲイン狙いの投資家にとっては安心感のある累進配当だが、恒久的に続くとは限らない点に注意が必要だ。

 一般的には中期経営計画の中で宣言する事例が多いので、2~3年程度のスパンで考えたほうが無難だろう。

 もちろん三菱商事のような巨額の利益剰余金を持つ大企業であれば、半恒久的に続く可能性はあるが、業績好調でも配当余力の小さい企業が累進配当宣言をした場合は警戒が必要だ。

●AIや半導体関連株一極集中のリスクを減らすポートフォリオの組み換え

 日経平均株価が6万円を突破したといっても、すべての株が値上がりしているわけではない。AIや半導体関連株など米国市場のハイテク株上昇につられて、一部のセクターに買いが偏っている側面もある。

 市場全体の値動きを表すTOPIX(東証株価指数)と日経平均株価の乖離を表すNT倍率が、16.36倍(2026年5月7日終値換算)に拡大しているのを見ても、日経平均採用銘柄が突出して買われているのは明らかだ。

 AIや半導体関連株は米国市場に影響される可能性が高いことから、一極集中投資はこれからますますリスクが高まってくる。

 イラン情勢やウクライナ戦争など不透明な要因は依然として続くため、累進配当株をポートフォリオに組み入れて着実に資産を増やすのも、賢明な投資法といえるかもしれない。(記事:丸山優太郎・記事一覧を見る

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