ファーストコーポレーション、26年5月期上方修正、完成工事総利益率向上で増益・増配拡大
2026年4月21日 07:52
ファーストコーポレーション<1430>(東証スタンダード)は造注方式を特徴として分譲マンション建設などを展開するゼネコンである。創業20周年の31年に向けた中長期ビジョン「First VISION 2031」では、数値目標の着実な達成と資本収益性向上のための成長投資に加え、人的資本への大幅な投資を中心施策として位置付けている。4月1日には中長期ビジョン実現に向けたブランド戦略として新ロゴ導入を発表した。また4月15日には従業員持株会制度における奨励金付与率引き上げ(26年6月~11月)を発表した。26年5月期は増益・増配幅が拡大する見込みだ。4月14日付で、売上高を事業用地の販売件数が計画を下回るため下方修正したが、各利益を上方修正した。完成工事総利益率の上昇や不動産事業の高利益率案件の成約積み上げが牽引する。また配当予想も上方修正した。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、その後は上方修正も好感して戻り高値圏だ。高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■造注方式が特徴のゼネコン
東京圏(1都3県)中心に分譲マンション建設などを展開するゼネコンである。造注方式による大手マンション・デベロッパーからの特命受注と高利益率、品質へのこだわりによる安心・安全なマンション供給を特徴としている。
造注方式というのは、当社がマンション用地を開発し、マンション・デベロッパーに対して土地・建物を一体とする事業プランを提案し、マンション・デベロッパーから特命で建築を請け負うという受注方式である。入札方式に比べて好条件での請負が可能となる。
品質に関しては「安全と品質の最優先」を掲げて、施工品質管理標準・マニュアル類の整備、階層別研修会の実施、施工検討会による安全で堅実な施工計画の策定、巡回検査による正確性の担保など、良質で均一な品質を維持するための取り組みを推進している。また第三者機関による検査導入については、施主が第三者機関による検査を実施しない場合でも、建造物の安全性を確保するために重要な杭工事、配筋工事、レディーミクストコンクリートを対象として、当社が自前で第三者機関による検査を導入するなど、安心・安全なマンション供給に向けた体制を整備している。
なおM&A・アライアンスでは、23年9月に小林工業(群馬県前橋市)と共同住宅建設に係る請負工事受注に関して業務提携した。また23年12月に吉田組(群馬県桐生市)と共同住宅建設に係る請負工事受注に関して業務提携した。
25年5月期は、建設事業の売上高が226億41百万円で営業利益(全社費用等調整前)が17億40百万円、不動産事業(共同事業収入を含む)の売上高が202億74百万円で営業利益が21億87百万円、その他(設計業務、不動産賃貸、マンション管理運営など)の売上高が2億78百万円で営業利益が2億34百万円の損失だった。不動産売上は大型案件によって変動する可能性がある。建設事業の受注高は8件合計266億29百万円(うち造注が85億13百万円、造注比率32.0%)で、期末受注残高は357億60百万円だった。
■中長期ビジョン「First VISION 2031」
創業20周年の31年に向けて26年1月に中長期ビジョン「First VISION 2031」を策定した。数値目標の着実な達成と資本収益性向上のための成長投資に加え、人的資本への大幅な投資を中心施策として位置付けた。
数値目標には、フェーズ1(26年5月期~28年5月期)の最終年度28年5月期の売上高500億円、営業利益35億円、フェーズ2(29年5月期~31年5月期)の最終年度31年5月期の売上高1000億円、営業利益率8%以上を掲げた。売上高1000億円を目指すうえで、建築現場件数を増やすために人員強化が必須となるため、25年5月期末実績161名(内訳は工事部65名、本社96名)から、31年5月期末の従業員数300名(内訳は工事部150名、本社150名)以上の体制を目指し、採用(新卒・中途)と人財育成を強化する。
なおフェーズ1の最終年度28年5月期の詳細目標は、売上高500億円、売上総利益60億円、売上総利益率12.0%、営業利益35億円、経常利益32億円、親会社株主帰属当期純利益23億円で、売上高の内訳は完成工事高250億円、不動産売上高210億円、共同事業収入30億円、その他売上10億円、売上総利益の内訳は完成工事総利益27億50百万円、不動産売上総利益24億円、共同事業収入総利益7億50百万円、その他売上総利益1億円、売上総利益率の内訳は完成工事総利益率11.0%、不動産売上総利益率11.4%、共同事業収入総利益率25.0%、その他売上総利益率10.0%としている。
基本戦略として建設事業と不動産事業の両輪で着実な成長を目指す。完成工事高については足元の人材確保を優先し、キャパシティを現状維持と想定している。完成工事総利益率については造注方式のさらなる追求などにより改善を推進し、利益拡大を目指す。不動産売上については安定的な事業用地の確保により毎期の増益を目指すとともに、事業主として自社開発物件を取り扱い、中長期的な不動産投資を推進する。共同事業収入については竣工後の着実な収益となるストックビジネスのため、中長期的に共同事業比率を高めてさらなる収益拡大を図る。
サステナビリティ戦略では人的資本投資に関する指標および目標(31年5月期)として、資格取得率(1級建築士・1級建築施工管理技士)60.0%、資格取得率(宅地建物取引士)60.0%、離職率5.5%、女性在籍率16.8%などを掲げた。なお、子どもの健全育成支援NPO法人である「特定非営利活動法人こどもの明るい未来を創る会」に対して、毎年寄付を行っている。
26年3月には、同社が事業主として開発を進めている東京都中野区の賃貸マンションが、東京都の「東京こどもすくすく住宅認定制度」においてセレクトモデルとしての設計認定を取得した。
4月1日には、中長期ビジョンの実現に向けたブランド戦略として新ロゴ導入を発表した。また人的資本投資の一環としてプロゴルファー吉川桃選手とのスポンサー契約締結を発表した。4月15日には従業員持株会制度における奨励金付与率引き上げ(26年6月~11月の半年間の拠出に限り従来の10%から30%へ引き上げ)を発表した。
■26年5月期は上方修正して増益・増配幅拡大
26年5月期の連結業績予想(26年4月14日付で売上高を下方修正、各利益を上方修正)は、売上高が前期比16.0%減の363億円、営業利益が12.4%増の29億円、経常利益が8.9%増の27億円、そして親会社株主帰属当期純利益が10.2%増の18億40百万円としている。
前回予想(25年7月15日付の期初公表値、売上高400億円、営業利益28億円、経常利益25億30百万円、親会社株主帰属当期純利益17億50百万円)に対して、売上高を37億円下方修正したが、営業利益を1億円、経常利益を1億70百万円、親会社株主帰属当期純利益を90百万円それぞれ上方修正した。事業用地の販売件数が計画を下回るため売上高を下方修正したが、各利益については完成工事総利益率の上昇や不動産事業の高利益率案件の成約積み上げが牽引する。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比31.0%減の239億89百万円、営業利益が14.5%減の16億12百万円、経常利益が18.0%減の14億83百万円、親会社株主帰属四半期純利益が16.8%減の9億97百万円だった。土地売却の減少や共同事業収入の前期の大規模案件の反動で減収減益だった。ただし完成工事高は堅調に推移し、請負価格適正化への取り組みなどで完成工事総利益率も大幅に上昇した。
完成工事高は18.7%増の199億66百万円、完成工事総利益は100.4%増の23億15百万円、完成工事総利益率は4.7ポイント上昇して11.6%、不動産売上高は78.0%減の32億85百万円、不動産売上総利益は61.4%減の4億36百万円、不動産売上総利益率は5.7ポイント上昇して13.3%、共同事業収入は81.2%減の5億23百万円、共同事業収入総利益は93.9%減の47百万円、共同事業収入総利益率は18.6ポイント低下して9.0%だった。その他の売上高は1.5%減の2億14百万円、その他の売上高総利益は85.2%増の5百万円、その他の売上高総利益率は1.3ポイント上昇して2.8%だった。
報告セグメントベースでは、建設事業は売上高が18.7%増の199億66百万円で営業利益(全社費用等調整前)が104.1%増の22億54百万円、不動産事業は売上高が78.5%減の38億09百万円で営業利益が86.0%減の2億31百万円だった。
全社ベースの業績を四半期別にみると、第1四半期は売上高が74億21百万円で営業利益が4億30百万円、第2四半期は売上高が78億37百万円で営業利益が5億43百万円、第3四半期は売上高が87億31百万円で営業利益が6億39百万円だった。
26年5月期は減収ながら増益・連続増配予想としている。なお不動産事業において第4四半期に大型案件の成約を見込んでいる。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主還元策
株主還元については基本方針を連結配当性向30%以上としている。この基本方針に基づいて、26年5月期の配当予想(26年4月14日付で期末2円上方修正)については前期比4円増配の46円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は30.0%となる。また創業20周年の31年に向けて連結配当性向40%を一つの目安として検討する。
株主優待制度(詳細は会社HP参照)については、毎年11月末現在の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じてクオカードを贈呈している。
■株価は上値試す
株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、その後は上方修正も好感して戻り高値圏だ。高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。4月20日の終値は1124円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS153円39銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の46円で算出)は約4.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS816円73銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約150億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)