【編集長の視点】東京都競馬、通期業績を上方修正・増配、3Q好調と経費抑制で権利取り需要も

2025年12月12日 08:30

■反落も干支の「午」関連株人気がフォローし期末増配・優待権利取りに一考余地

 東京都競馬<9672>(東証プライム)は、前日11日に30円安の5590円と反落して引けた。日経平均株価が、453円安と続落したことから、11月19日に売られた直近安値5130円から400円超幅のリバウンドをしている同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ同社は、今年11月13日に今2025年12月期第3四半期(2025年1月~9月期、3Q)決算の開示に合わせて今12月期通期業績の上方修正と増配、株主優待制度の拡充を発表しており、期末接近を前に下値での増配・優待制度の権利取りも一考余地がありそうだ。来年2026年の干支が、「午」となり同社の主力事業の競馬や社名が関係することもフォローの材料視される可能性がある。

■「SPAT4」の売り上げが堅調に推移し諸経費抑制も寄与

 同社の今12月期通期業績は、期初予想より売り上げを3億1200万円、営業利益を8億7200万円、経常利益を8億9500万円、純利益を2億8700万円それぞれ引き上げ、売り上げ416億500万円(前期比2.9%増)、営業利益150億400万円(同7.7%増)、経常利益150億1700万円(同7.9%増)、純利益101億4800万円(同4.5%増)と見込み、純利益は、前期の過去最高を連続更新する。インターネット投票サービス「SPAT4(南関東4競馬場在宅投票システム)」で3Qまで全国の地方競馬延べ950日、1万1020レースを開催し売り上げが堅調に推移し、この増収効果と諸経費を抑制したことが要因となった。なお同社は、12月19日に大井競馬場の再整備などを盛り込んで新策定する中期経営計画を発表予定である。

 配当は、配当性向30%を基準とする株主還元方針に基づき今期期末配当を期初予想の65円から69円に引き上げ、年間114円に増配し、前期の創立75周年の記念配当5円込みの113円から連続増配を予定している。また株主優待制度の拡充では、従来の大井競馬場の株主優待証などの優待策に追加して大井競馬場内の飲食店舗「STAR LIGHT」での飲食優待券500円を贈呈する。なお来年の干支の「午」関連では、大井競馬場の冬季限定イルミネーションの「午年MEGA新春イベント」を来年1月2から11日まで開催し、午年生まれを対象に入場無料とするほか、実際に本物の馬とふれ合えるキャンペーンなども予定している。

■PER14倍の割安修正で年初来高値奪回から上値チャレンジ

 株価は、トランプ関税ショック時に売られた年初来安値3885円から四半期業績の相次ぐ増収増益着地などを手掛かりに上値を追い、年初来高値5780円まで約5割高し、今期業績の上方修正では修正業績が市場コンセンサスをやや下回るとして5130円まで調整し、期末の増配・優待制度の権利取りとともに戻りを試してきた。PERは14.7倍となお割安であり、干支関連株人気もオンして高値奪回に再発進し、上値チャレンジが続こう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事

最新記事