フィックスターズがDOE導入を発表 株主のメリットとは?
2025年12月4日 16:57
●フィックスターズが配当方針の変更を発表
ソフトウェア開発企業のフィックスターズは2日、DOE(連結株主資本配当率)を導入する配当方針の変更を発表した。
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同社は導入する目的について、「配当水準の向上と共に安定した配当とするため」としている。
株主にとってメリットがあるといわれるDOEを導入する企業は、ここ数年増加傾向にあるという。配当性向との違いやメリットについてまとめておこう。
●配当性向とDOEの違い
フィックスターズが導入するDOEは、一般的な配当方針の指標である配当性向とどのような違いがあるのだろうか。
配当性向は、企業が当期純利益(最終利益)の中からどの程度配当金に回したかを表す指標である。
これに対しDOEは、株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金などの合計)に対し、どの程度の配当金を支払ったかを表す指標という違いがある。
●株主にどんなメリットがあるか
今回のDOE導入で気になるのは、株主にどのようなメリットがあるかだ。
これまでどおり配当性向のみを基準にした場合は、その年度の純利益によって配当水準が大きく変動するリスクがある。
一方でDOEを導入すれば、資本金やこれまでの利益の積み重ねが配当の基準になるため、利益が少ない年でも株主は安定した配当を受け取ることができる。
フィックスターズでは中期的に配当性向30%及びDOE7%以上を目標に掲げている。
●フィックスターズの業績見通し
フィックスターズの業績は、前2025年9月期が、売上高96億1,700万円(前期比+20.3%)、営業利益25億7,800万円(同+11.9%)、経常利益25億8,100万円(同+12.0%)、純利益19億4,500万円(同+30.2%)の大幅増益となった。
だが今2026年9月期は、売上高103億円(前期比+7.1%)、営業利益26億円(同+0.8%)、経常利益26億円(同+0.7%)、純利益16億円(同-17.8%)と、最終利益は一転して減益を見込んでいる。
これは本社移転に伴う一過性の経費が増加することが主な要因だ。売上高は堅実に伸びる見込みのため、本業自体に不安要因はない。
同社では、今期の配当金を1株18円(前期から据置)と予想しており、これを基準にした配当性向は36.3%、DOEは6.8%となる。
配当性向は30%を超えて基準を満たすが、DOEは目標の7%をやや下回る水準だ。そのため、最終的には多少増配してDOEの目標を達成しようという動きも予想される。
その意味でもDOEの導入は、株主にとってメリットがあるといえよう。(記事:丸山優太郎・記事一覧を見る)