相場展望12月1日号 米国株: 米国景気の先行きは (1) クリスマス商戦 (2) 最高裁の判決が焦点 日本株: 日経平均は、「天井を意識」させる展開

2025年12月1日 14:06

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)11/27、祝日「感謝祭」で休場
 2)11/28、NYダウ+289ドル高、47,716ドル

【前回は】相場展望11月27日号 米国株: 米国の雇用対策を、FRBの利下げに求めるトランプ政権 日本株: 日経平均上昇の立役者ソフトバンクGの株価が急落

●2.米国株:米国景気の先行きをみるうえで(1)クリスマス商戦(2)最高裁の判決が焦点

 1)米国NYダウは「天井感」を示唆か?
  ・NYダウの推移
    10/28 47,706ドル
    11/06 46,912
    11/12 48,254
    11/28 47,716

  ・NYダウは、FRBの12月追加利下げ観測から上昇した。しかし、さらなるNYダウの上昇には新年度も利下げ見通しが必要となる。12月の利下げ確率は86%まで高まっているが、新年度は不透明。

 2)クリスマス商戦は始まり売上高は+7%増と好調、しかし、数量ベースは▲1%減少
  ・売上増加の要因は、インフレと関税上昇によるものとの分析がある。数量ベースでの▲1%減少に、焦点が向かう可能性がある。

 3)米国消費支出の増加も、中味は「貯蓄の取り崩し」による消費増との見方もある
  ・賃金は上昇も、インフレ率を下回っている。
     
 4)トランプ米国大統領の政策で、「米国経済好調」とはならない、むしろ「後退」へ
  ・トランプ政策は、(1)減税と(2)関税にある。
   (1)減税
    ・減税は、低所得者にとってトランプ1期以来の期限延長に過ぎない。新たな追加減税ではない。むしろ、オバマ政権が始めたオバマケアの縮小のあおりを受け、実質所得=家計にとってマイナスを及ぼすものである。
    ・富裕者に対する減税は、新規であり、富裕者に限ってプラス効果となる。

   (2)関税
    ・関税の最終負担者は、一般国民である。米国消費者の家計負担余力が低いため、関税の価格転嫁は進んでいない。未転嫁分は、米国の輸入業者と、米国への輸出国企業の負担となっている。つまり、関税による価格転嫁予備軍が残っている状態にある。関税の家計負担は、現状一部に過ぎない。

   (3)関税の最高裁判断
    ・最高裁で違憲との判決が出れば、関税の払い戻しが15兆ドルを上回る。
    ・トランプ政権は、関税収入を当て込んだ歳出増加をしている。

   (4)米国景気の後退リスク
    ・関税について最高裁が「違憲」判決を出した場合、関税の払い戻し。
    ・低所得者層の実質賃金引下げ。
    ・富裕層に対する減税負担増加。
    ・関税収入を当て込んだ政府支出の増加。
    等によって、米国連邦政府の財政赤字が増大することになる。富裕層を除いて、米国政府と低所得者層の支出減で「米国景気は後退」に向かう可能性が高いと思われる。

 5)米国景気の先行きをみるうえで(1)クリスマス商戦(2)最高裁の判決が焦点
  ・最近の米国世論調査では、トランプ支持率は36%まで低下したという報道がある。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)11/27、上海総合+5高、3,875
 2)11/28、上海総合+13高、3,888

●2.中国11月景況感は49.2、8カ月連続で節目割れ(共同通信)

 ・製造業購買担当者指数(PMI)は11月、前月から+0.2上回る改善し景気拡大・縮小を判断する境目の50を8カ月連続で下回った。不動産不況に伴う内需の不振を反映した。
 ・項目別にみると、
   ・新規受注は49.2と+0.4改善したが、5カ月連続の節目割れとなった。
   ・雇用者数は+0.1上昇の48.6と低水準が続いた。
   ・生産指数は前月から+0.3上昇し、50となった。
   ・非製造部門の景況感は49.5と、前月より▲0.6悪化した。
   ・製造業と非製造業をまとめた総合景況感指数は▲0.3悪化し、49.7となった。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)11/27、日経平均+608円高、50,167円 
 2)11/28、日経平均+84円高、50,253円  

●2.日本株 : 日経平均は、「天井を意識」させる展開

 1)日経平均と寄与度上位5銘柄
  (1)11/27、日経平均+608円高、寄与上位5銘柄で+537円高・+88.3%を占めた
   ・日経平均寄与度上位5銘柄
                寄与額    株価
     アドバンテスト    +254円高  +950円高
     ソフトバンクG     +116    +580
     東京エレクトロン   +101    +1,010
     TDK         +44    +88
     ファーストリテイ   +22    +270
       合計       +537円高

   ・「エヌビディア3兄弟」が上位1~3位を独占。

   ・6日移動平均は11/27で213.96と高い水準⇒11/28以降は下落リスクの懸念。

  (2)11/28、日経平均は+86円高は、寄与上位5銘柄の+84円高で説明できる
   ・日経平均寄与度上位5銘柄
                寄与額    株価
     アドバンテスト    +44円高  +615円高
     イビデン       +14    +430
     信越化学       +10    +58
     ファナック      +10    +57
     豊田通商       +6    +57
      合計        +84

   ・過去、値がさ半導体関連株への投資が、運用成果を決めてきた。だが、その値がさ半導体関連株の株価に変調が見受けられるようになった。

 2)米国追加利下げ観測を受けた米国株高で、日経平均は上昇
  ・海外短期筋も株価指数先物を断続的に買いを背景に、値がさの半導体株を中心に日経平均は上昇した。

 3)日経平均は、「天井を意識」させる展開
  ・日経平均の推移
    10/31 52,411円
    11/10 50,911
    11/13 51,281
    11/21 48,625
    11/28 50,253

  ・日経平均の高値は、だんだんと下方傾向にある。

  ・日経平均を押し上げたのは、海外短期投機筋の先物を使った強引な引上げ。その海外短期投機筋が、(1)高値での売り(2)下げ過ぎたら先物買いで引上げるという構図になっている。海外勢の動向は、日経平均の新高値追いではないことが鮮明になってきた。

  ・日経平均の新高値追いの時期に活躍した、ソフトバンクG(SBG)は下落途上にあり、アドバンテストや東京エレクトロンも勢いがなくなってきている。

  ・米国景気後退がささやかれる状況のため、日経平均の先行き不安が増す可能性がある。このため、米国株と日本株の動向を注意深く観測したい。

●2.トランプ関税で企業業績、3割超が減益予想、製造業では4割超に(日本インタビュー新聞)

 1)輸送用機械・器具製造では55.2%が減益と過半を占めた。他方、増益見込みは0.7%にとどまり、貿易摩擦が企業収益の重荷となっている。

●3.コメ価格が過去最高値を更新、5キロ平均価格が4,316円、11週連続で4,000円台高値(#エキスパートトピ)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1911 住友林業       業績向上期待
 ・3288 オープンハウス    業績好調
 ・8316 三井住友FG      業績好調

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