物価高が家計を圧迫、年末調整前に見直すべき「3つの固定費」

2025年11月20日 17:48

 2025年11月に入り、物価上昇が家計に与える影響が一段と深刻化している。総務省の調査によると、2025年8月時点でも消費支出額は前年同月比で約2万円増加が続いている。

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 特に食品価格や光熱費の上昇が家計を直撃し、子育て世帯の約9割が物価高を実感しているというデータもある。年末調整を控えたこの時期、家計の見直しを検討する家庭が増えている。

 物価高が続く中、家計防衛のカギとなるのは「固定費の見直し」だ。通信費、保険料、光熱費など、毎月必ず発生する支出を見直すことで、年間で数万円単位の節約が可能になる。特に、スマートフォンの通信プランや生命保険の見直しは、手続きが比較的簡単で効果が大きい。

 通信費では、大手キャリアから格安SIMへの乗り換えや、家族割引の活用で月額1,000円以上の削減も見込める。また、スマートフォンとインターネット回線をセット契約することで、回線料金の割引が受けられるケースも多い。光回線とモバイル回線を同じ事業者で契約すれば、月額数百円から数千円の節約につながる。ある大手通信事業者の試算では、セット契約により月額平均で約800円の削減効果があるという。

 保険料については、生命保険は掛け捨てで充分と考えている。筆者自身も、以前は郵便局の保険と県民共済の2つに加入していたが、病気のため県民共済には入れなくなった。保障の観点からは掛け捨て保険の保険料が手頃なもので充分だと実感している。必要保障額を見直し、複数の保険を整理することで無駄を削減できる。年間で数万円単位の節約につながるケースも少なくない。

 光熱費については、電力会社の再契約や、ガス・電気のセット割引を活用することで、月額数百円から数千円の削減が可能だ。ある電力比較サイトの調査では、電力会社の見直しにより平均で月額約1,200円の削減効果があるという。電力自由化により、2025年現在も新たなプランが次々と登場している。比較サイトを活用して、自分に最適なプランを選ぶことが重要になる。

 年末調整の時期は、給与明細を確認し、家計の「見える化」を行う絶好のタイミングでもある。ただし、医療費控除(年間10万円以上)や住宅ローン控除がある人は注意が必要だ。これらは年末調整では調整できないため、確定申告が必要になる。医療費控除では、病院までの電車代は対象となるが、自家用車のガソリン代は医療行為に直接必要な費用ではないため、対象外となる点も覚えておきたい。

 固定費の見直しと合わせて、家計簿アプリを活用した支出管理を始めれば、来年以降の家計改善につながる。

 物価高が続く中、家計防衛は「待ったなし」の状況だ。通信費、保険料、光熱費の3つの固定費を見直すことで、年間で数万円単位の節約が可能になる。年末調整を機に、家計の見直しを始めてみてはいかがだろうか。小さな積み重ねが、家計の「静かな改善」につながっていく。

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