JR東日本がSuica大改革第2弾を発表 今後の業績への影響は?

2025年11月19日 13:36

●誕生25周年を機にSuica大改革を実施中

 11月11日、JR東日本が電子マネーの先駆け的存在であるSuicaの大改革「Suica Renaissance」第2弾を発表し、注目を集めている。昨年12月10日の第1弾に次ぐ発表だ。

【こちらも】ローコスト型スーパー「TRIAL GO」が東京初進出 小売業界への影響は?

 Suicaは2001年に誕生し、2026年で25周年を迎える。Suicaカードをタッチするだけで鉄道の改札を通過できる便利な機能が受けて幅広いユーザーに普及した。

 JR東日本の発表によると、Suicaの発行枚数は、カード式が1億1,231万枚(2025年3月18日時点)、モバイルSuicaが3,347万枚(同)となっている。

 したがって、カード式に限っては拡大の余地はあまりないように見える。そこでJR東日本がとる戦略がモバイルSuicaの拡大だ。こちらはまだまだ会員数の増加が期待できる。

●カード事業が大飛躍する可能性も

 今回の第2弾で発表された施策で最も大きな特徴は、Suicaのチャージ限度額を大幅に引き上げることだ。これまでのSuicaではチャージ限度額が2万円だったため、少額に特化した決済しかできなかった。今回の大改革ではチャージ限度額を30万円に拡充する。

 仕組みは、最大30万円までの買い物に利用できるコード決済サービスをモバイルSicaアプリに搭載するというものだ。

 さらにモバイルSuicaにJR東日本系のクレジットカード「ビューカード」を搭載しておけば、事前チャージ不要で買い物できるため利便性の向上も見込める。

 今回のチャージ限度額の大幅引き上げや、ビューカードとの連携によってカード事業が大きく飛躍する可能性が出てきた。

 例えば、これまでの少額決済では利用が難しかった高額家電やホテルの宿泊料金などの支払いもSuicaで可能になるため、取引先の拡大が期待できるだろう。

 最大30万円までチャージできるコード決済の導入は、2026年秋を予定している。

●新キャラクターでイメージ一新も狙う

 今回のもう1つの大きな改革が、イメージキャラクターの一新である。Suicaといえばペンギンのキャラクターがすっかりお馴染みだが、今回の大改革では2027年度から新キャラクターに変更し、イメージの一新も狙う。

 現イメージキャラクターのペンギンは2026年度末まで継続活用された後、新キャラクターにバトンタッチする予定になっている。

 もし新キャラクターを公募で決めることになれば、パブリシティ効果も大きいだろう。今後の行方に注目したい。

●JR東日本株価の現状と業績見通し

 Suica大改革を打ち出したJR東日本の現在の株価は3,800円(2025年11月18日終値)で、同終値換算のPER(株価収益率)は18.0倍と平均的な水準にある。配当金は1株70円(会社計画)で前期より10円増配、配当利回りは1.84%となっている。

 これに運賃割引などの株主優待も付くので株主への還元姿勢は悪くない。配当性向は33.3%(会社計画)なので増配余力も十分だ。

 2026年3月期の業績予測は、売上高3兆580億円(前期比+5.9%)、営業利益4,050億円(同+7.5%)、経常利益3,410億円(同+6.0%)、純利益2,370億円(同+5.7%)を見込んでいる。まだモバイルSuica拡充の影響を織り込んでいない数字のため、2027年3月期の業績に期待が持てる1社といえる。(記事:丸山優太郎・記事一覧を見る

関連記事

最新記事