くすりの窓口、中間期大幅増益で通期上振れ期待高まる、ストック売上拡大が成長を下支え

2025年11月17日 08:11

(決算速報)  くすりの窓口<5592>(東証グロース)は11月14日に26年3月期第2四半期累計(以下、中間期)連結業績を発表した。増収・大幅増益だった。ストック売上が順調に拡大し、コスト適正化なども寄与した。そして通期2桁増益予想を据え置いた。ストック収益が積み上がる収益構造であり、中間期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は9月の最高値圏から反落し、さらに中間期決算発表に対してもネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■26年3月期中間期大幅増益で通期上振れの可能性

 26年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比7.0%増の58億25百万円、営業利益が32.9%増の12億62百万円、経常利益が35.7%増の12億52百万円、親会社株主帰属中間純利益が190.5%増の16億20百万円だった。増収・大幅増益だった。ストック売上が順調に拡大し、コスト適正化なども寄与した。なお親会社株主帰属中間純利益については、繰越欠損金に係る繰延税金資産の追加計上により法人税等が減少したことも寄与した。

 メディア事業は、売上高(これまでメディア事業に含めていたEPARK人間ドックの売上高を当期より未病予防事業として開示するため遡及修正後)が6.7%増の22億94百万円(ストック売上高が16.6%増の16億46百万円、ショット売上高が12.1%減の6億48百万円)で、ストック粗利が48.1%増の7億45百万円だった。ショット売上は前年同期の調剤報酬改定による加算要件のサービス需要が一巡したため減収だが、ストック売上が施設保有数や処方箋ネット受付数の増加によって拡大し、粗利率の改善も寄与してストック粗利が大幅に増加した。主要KPIとして中間期の予約数は15.2%増の3240件、中間期末時点の施設保有数は8.8%増の2万3953件、お薬手帳アプリDL数は22.2%増の671.8万件となった。

 みんなのお薬箱事業は、売上高が13.8%増の17億09百万円(ストック売上高が14.5%増の14億89百万円、ショット売上高が9.5%増の2億20百万円)で、ストック粗利が18.4%増の7億52百万円だった。仕入サポートサービスが回復基調となり、粗利率の改善も寄与した。主要KPIとして、流通額(仕入サポートサービス+不動在庫サービス)は第1四半期が4.7%減の557億63百万円、第2四半期が0.0%増の566億95百万円で、第2四半期末時点の施設保有数は7.5%増の1万8224施設となった。

 基幹システム事業は、売上高が1.8%減の17億07百万円(ストック売上高が5.7%増の7億83百万円、ショット売上高が7.3%減の9億24百万円)で、ストック粗利が19.5%減の2億56百万円だった。ショット売上が前期の特需の反動で減少し、ストック粗利は主要子会社における新商品の先行投資の影響で減益だったが、ストック売上は順調に拡大した。主要KPIとして、第2四半期期末の施設保有数は4.9%増の8184施設(薬局が5371施設、介護が2277施設、医科が536施設)となった。

 未病予防事業(くすりの窓口健診サポート、EPARK人間ドック)は、予約したユーザーが健康診断または人間ドックを実際に受診した月に売上計上され、通常は予約から売上計上まで2~3カ月要するため、現時点で売上高(手数料収入)が僅少だが、主要KPIとして、予約数は、25年3月期第1四半期5187件、第2四半期5050件、第3四半期5371件、第4四半期5567件から、26年3月期第1四半期1万9018件、第2四半期2万580件へと急増している。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が29億14百万円で営業利益が6億29百万円、第2四半期は売上高が29億10百万円で営業利益が6億32百万円だった。また同社が重要指標と位置付けているストック売上高は第1四半期が19億95百万円、第2四半期が19億82百万円、ストック粗利は第1四半期が8億46百万円、第2四半期が8億05百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いて売上高が前期比9.8%増の123億円、営業利益が12.6%増の22億円、経常利益が10.0%増の21億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が10.1%増の22億40百万円としている。配当予想も据え置いて前期比3円増配の30円(期末一括)としている。予想配当性向は15.0%となる。

 2桁増益で増配予想としている。前期の特需(基幹システム事業において補助金対象となった子会社モイネットの電子処方箋管理サービスの新機能が業績に大きく貢献)の反動等を考慮しているが、この影響を除くベースでは15%増収、33%営業増益の見込みとしている。

 中間期の進捗率は売上高が47%、営業利益が57%、経常利益が59%、親会社株主帰属当期純利益が72%である。ストック収益が積み上がる収益構造であり、中間期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は9月の最高値圏から反落し、さらに中間期決算発表に対してもネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。11月14日の終値は2909円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS199円59銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS753円05銭で算出)は約3.9倍、そして時価総額は約326億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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