相場展望7月31日号 米国株: 重要イベント (1) 決算発表 (2) トランプ関税合意で、まちまちの動き 日本株: 相場は底堅いものの、投資家の「高所恐怖症」が見受けられる
2025年7月31日 12:55
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)7/28、NYダウ▲64ドル安、44,837ドル
2)7/29、NYダウ▲204ドル安、44,632ドル
3)7/30、NYダウ▲171ドル安、44,461ドル
【前回は】相場展望7月28日号 米国株: 決算発表で業績不振企業が目立ち始めた 日本株: 関税交渉に合意とあるが、問題点が2つ (1) 合意文書がない (2) トランプ氏に80兆円もの引出権を付与
●2.米国株:重要イベントの(1)決算発表(2)トランプ関税合意を受け、まちまちの動き
1)重要イベントの(1)決算発表(2)トランプ関税合意を受け、まちまちの動き
・アナリストが目標株価引上げる
AMD
・米国金融政策の見極め、FOMCに注目
7/30、FOMCで金利据え置き決定。
・決算発表銘柄に売り
スタバ:4~6月期世界売上高が予想以上に減少、6四半期連続、需要低迷
ボーイング:4~6月期決算で最終赤字約▲900億円、赤字は12四半期連続
ユナイテッドヘルス
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)
スポティファイ :決算が予想以下、広告付き低調で▲11.5%急落
・決算発表で株価上昇
メタプラットフォームズ:売上見通しが予想上回る。株価急伸。
マイクロソフト :4~6月期売上高が予想上回る。AIが好調。
・トランプ関税が日本・欧州連合(EU)と合意したため、相場反落
●3.トランプ氏、ブラジルに計50%関税、航空機やエネルギーは対象外(ロイター)
●4.FRB、5会合連続で金利据え置き、トランプ氏任命の2委員は利下げ主張(ロイター)
1)決定は9対2だった。
2)FRBはFOMC声明で「失業率は低水準を維持し、労働市場の状況は引き続き堅調だ。インフレ率は依然やや高止まりしている。」と指摘した。
3)9月利下げ観測が後退した。
●5.NY銅先物が急落、半完成の銅製品に50%関税、精錬銅は除外(ブルームバーグ)
1)銅価格は一時▲18%急落。
2)半製品の銅製品
●6.米国4~6月期GDP年率換算+3.0%、米国経済が堅調を維持を示す(NHK)
●7.欧州製薬業界、米国・EU関税合意で15%関税のため190億ドルの追加コスト(ロイター)
1)欧州の輸出医薬品の6割が米国向け。
2)消費者向けの販売価格が引上げられる可能性。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)7/28、上海総合+4高、3,597
2)7/29、上海総合+11高、3,609
3)7/30、上海総合+6高、3,615
●2.中国製造業PMI、7月は49.3に低下、4カ月連続50割れ(ロイター)
●3.HSBC、上半期は▲26%減益、中国の損失拡大(ロイター)
1)中国の交通銀行への出資の減損処理や、香港不動産市場のエクスポージャーが重しとなった。
2)交通銀行の出資では▲21億ドルの追加損失を計上、昨年2月にも▲30億ドルの減損処理を行っていた。中国国内の不良債権増加が背景にある。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)7/28、日経平均▲457円安、40,998円
2)7/29、日経平均▲323円安、40,674円
3)7/30、日経平均▲19円安、40,654円
●2.日本株:相場は底堅いものの、投資家の「高所恐怖症」が見受けられる
1)投資家の「高所恐怖症」で利益確定売りが目立つ
・半導体関連株などに利益確定売り。
アドバンテスト :2026年3月期予想の上方修正でも買いが限定。
・決算発表が市場予想に届かず売られる。
SCREEN
・米国景気敏感株安で様子見ムード強まる。
・日本の関税合意とEUの合意期待で、株価は上昇したが、EUの合意の事実で売られた。日本は突然の関税合意・EUは期待の高まりで、株価は上昇した。しかし、EUの合意決定した事実で売られた。「噂で買って、事実で売る」の典型的な相場となった。
・今期業績悪化で売り。
さくらインターネット
シマノ :今期純利益▲60%減と下方修正。
ANA :4~6月期営業利益が市場予想を下回る。
村田製作所 :4~6月期営業利益▲7.2%減、円高・値下がり。
パナソニック :4~6月期営利益+3.8%増も、市場予想下回る。
・増益決算で買い。
大和証券 :4~6月期純利益+3割増。
NEC :4~6月期営業利益7.8倍、IT事業が好調。
フジクラ :米国コーニングの好決算を背景に買い波及。
東京ガス :4~6月期の営業利益+2.4倍、販売量が増加。
武田薬 :4~6月期は営業利益+11%増益、市場予想を上回る。
ノジマ :2026年3月期純利益+24%増に上方修正、一時+15%高。
・増益も材料出尽くしで売られる。
野村 :4~6月期純利益+5割増も、好材料出尽くしで反落。
2)急伸の後の反動安の範囲内、総崩れの始まりではない
・直近の日経平均の値動き。
7/23~24 + 2,052円高
7/25~30 ▲1,172円安
・海外投資家は4月以降、買いを継続している。特に、短期海外勢は、7/30に株価指数先物への買いを断続的に入れるなど、買いスタンスを維持している。
・7/23~24の上げに対する、7/25~30の反動下落は▲57%しか下げていない。この状況において、短期海外筋の買いが入り、売り叩きが発生していない。この状況下では、底堅さが見受けられる。
3)超強気相場が、落ち着き始めたとみる
・新高値・新安値銘柄数の推移
新高値銘柄数 新安値銘柄数
7/24 251 0
7/25 228 0
7/28 173 0
7/29 69 1
7/30 132 4
・新安値を意識するような強い売りはない。新高値を目指す銘柄数が減少し、勢いが鈍化している。相場が急伸した後の反動安の状況にある。
・新高値銘柄数が7/30に増加がみられており、日経平均上昇を示唆している。
●3.トヨタ、2025年上半期世界販売・生産台数が過去最高、関税前駆け込みとHV好調(ロイター)
●4.塩野義、4~6月期決算で純利益+28%増、抗HIV薬品が好調(日経新聞)
■IV.注目銘柄(投資は時期責任でお願いします)
・4578 大塚 業績好調
・4912 ライオン 業績好調
・9508 九州電力 業績回復期待
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