6月から電気料金が値上げ 電力の効率化で、苦難の時期を乗り切る

2023年5月29日 08:35

 原油価格の高騰やウクライナ情勢などの様々な影響を受けて、電気料金の値上がりが続いている。さらに政府は5月16日に開かれた閣僚会議で大手電力7社(北海道、東北、東京、北陸、中国、四国、沖縄)の家庭向け電力の値上げ申請を承認。6月1日から、およそ15%~40%の値上げ幅で電気料金が改定される予定だ。新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが5類に移行し、ようやく以前の日常が戻りつつあると期待した矢先、家計はもちろん、日本経済全体への打撃も心配だ。

 その影響で、省エネや節電への関心がますます高まっている。これまでにも原発停止後の電力不足や、コロナ禍で自宅時間が増えたことなどで、省エネや節電を心がける人は増えていたが、電気料金の高騰で拍車がかかっている状況だ。十分節電しているつもりでも、日常的に使用している家電の使い方を改めて見直してみると、消費電力を減らし、節電できるところがまだ見つかるかもしれない。

 これから夏本番を迎えるにあたり、私たち個人一人ひとりとしては「エアコンの設定温度を高めに調整する」ことや「古い家電から省エネ性能の優れた家電に買い替える」、「洗濯機に定められた容量の80%くらいの洗濯物を入れて洗濯をする」、「冷蔵庫には食料品を詰め込み過ぎない」などのちょっとした心がけで、年間の電気料金を抑えることができる。

 家庭内の節電は既にやり尽くしているという場合は、電力会社の乗り換えも検討すべきだろう。電気料金を減らせるかどうかは、契約プランなどにもよるが、オプションや特典をうまく組み合わせることで、結果的に家計の支出を抑えられるかもしれない。

 また、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス/通称・ゼッチ)も注目を集めている。ZEHとは、高い断熱性能をベースに、HEMS(Home Energy Management System)や最新の設備機器による徹底した省エネ化と、太陽光発電などの再生可能エネルギーによる創エネなどを組み合わせることで、住宅の一次エネルギーの年間消費量が正味でおおむねゼロになる住まいのことだ。当然、設備投資は必要になるものの、政府の補助金制度も設けられているので普及が進んでいる。

 例えば、業界でもいち早くZEH住宅の普及に取り組んできた積水ハウスでは、2022年度の新築戸建住宅におけるZEHの比率が93%と過去最高を更新し、2023年 3月末時点で累積76,509棟になったという。また、同社は賃貸住宅 「シャーメゾン」や分譲マンション 「グランドメゾン」などの集合住宅でもZEHを推進しているが、賃貸住宅シャーメゾンZEHの入居者へのアンケート調査で去年の夏期の電気料金について聞いたところ、「安くなった」が67%と、約7割の居住者が電気料金の減少を実感していることがわかったという。また、今後、別の賃貸住宅を借りる、または住宅を購入したり建設したりする場合、ZEH仕様にするかどうかという問いには「そう思う」が30%、「ややそう思う」が48%となっている。約8割がZEH仕様の住宅を選びたいと答えていることからも、これから住宅を選ぶ際には、賃貸住宅においてもZEH仕様が選択肢の一つになってきそうだ。

 家庭の中を見渡せば、節電の工夫ができる部分がまだあるにしても、電気料金の高騰は厳しく、住まい手に我慢を強いることになる。ZEHなど、創エネや省エネなど環境性能に優れた住宅に住み替えることで、日常の生活の中で常に意識をせずとも、環境によい暮らしができる。中長期的な視点でZEHへの住み替えは選択肢の一つになり得るのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

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