水素エネルギーの脱炭素化への貢献、2050年時点でも限定的 京大の研究
2022年3月6日 07:50
温室効果ガスの排出削減に向けて、化石燃料からの切り替え先として注目されているのが水素エネルギーである。特に電化が困難な長距離輸送や工業炉などは、再生可能エネルギーを用いて生産される水素の使用が必須となる。
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京都大学の研究グループは4日、将来的に世界のエネルギーシステム全体でどこまで水素エネルギーが用いられるかをシミュレーションした結果、水素エネルギー単体では、2050年時点でも5%程度に留まる可能性が示唆されたと発表した。
水素エネルギーのキャリアとしては、純粋な水素の他にアンモニアや炭化水素などが挙げられる。これらのキャリアを再生可能エネルギーを用いて生産することで、長距離輸送や工業炉などにおいても脱炭素化が可能となる。より具体的には、船舶や航空、高熱需要の工業炉などにおいて電化は現実的でないため、水素燃料を化石燃料で代替する形となる。
しかし今回のシミュレーションでは、水素の生産コストは電力の約1.5から2倍となり、多くのシナリオで普及率が5%程度となった。二酸化炭素回収貯留が出来ないなど、重工業で水素エネルギーを使用せざるを得ない場合でも普及率は15%以下に留まる。水素エネルギーが最も多く導入されるのは、自動車や航空などの運輸で、産業や発電においてもシナリオによっては一部導入される結果となった。
この結果から、水素エネルギーのみに頼らず電化やバイオマス利用なども進めていくことが重要であることが示唆された。
脱炭素社会の実現に向けて水素エネルギーキャリアは一定の役割を果たし、重要なオプションとなる可能性がある。その一方で、費用面では電化やバイオマスに劣るなどの課題も提起される結果となった。
具体的な技術開発や政策を検討する上で、既存インフラの活用や電気自動車の普及など様々なファクターを考慮して継続的に研究していく必要がある。
今回の研究成果は2日付の「Applied Energy」誌オンライン版に掲載されている。
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