酸化物系固体電解質を低温で焼結、以外なメカニズムも明らかに 東北大
2021年12月9日 11:30
燃料電池や全固体リチウムイオン電池などの次世代電池に必須の材料の1つに、酸化物系の固体電解質がある。酸化物系固体電解質は、焼結に1500度程度の高温と長時間の処理が必要であり、作製プロセスを確立する上で大きなハードルとなっていた。東北大学は8日、酸化物系固体電解質の1つである酸化セリウムを、900度と金属並みの低温で焼結することに成功したと発表。予想外のメカニズムがあることも明らかとなったという。
【こちらも】室温で動作可能な酸化物系全固体電池を開発 安全性も高く 産総研
酸化物系固体電解質の製造プロセスとして、例えば3Dプリンティングとレーザー焼結を組み合わせた方法などが試みられてきた。だが固体電解質を十分に高温に出来ず、密度が上がらなかったり熱応力で割れたりなどの課題があった。
酸化セリウムでは、リチウムを微量添加することで焼結温度が低温化することは、従来の研究でも知られている。だがその効果の程度やメカニズムについては明らかになっておらず、実用化には至っていなかった。今回の研究では、低温焼結した酸化セリウムの組成分析と熱力学シミュレーションにより、メカニズムの考察を実施。
その結果、リチウムを添加した酸化セリウムにはシリコンとアルミニウム、さらにはジルコニウムが含まれていることが判明。これらの原子は意図的に含まれたものではなく、作製プロセスにおける実験系から混入したものと推測されるという。これらの元素の酸化物融体が、酸化セリウムの粒界に存在していることが確認された。つまり、低温焼結時にこの低融点の酸化物融体が、酸化セリウムの焼結を促進したと考えられる。
熱力学シミュレーションの結果から、リチウム、シリコン、アルミニウムを含む酸化物融体の融点は855度であることも明らかになった。つまり酸化セリウム自体でなく、意図せず導入された酸化物融体によって、焼結が促進されたことになる。
今回の発見は、酸化セリウムに限らず酸化物系固体電解質全般の低温焼結における実験系を確立する上で、重要な知見となり得る。それを応用することで、3Dプリンティングなどの新しい製造プロセスで燃料電池、全固体電池の実用的な作製プロセスの確立が期待される。
今回の研究成果は12月3日付の「Acta Materialia」誌のオンライン版に掲載されている。
関連記事
最新記事
- 過去最大規模の「Steam Next Fest」が開幕 注目作『Among Us』スピンオフなど約5,000本の体験版が無料配信
- AirPods Pro 3が169ドル(約2.7万円)に、Prime Day前に過去最安値と報道 さらに下がるかは不透明
- Microsoftらの新技術「Mirage」、GPUメモリを55分の1に削減しAI動画生成の「空間のズレ」を解決と主張
- Fable/Mythos停止後に囁かれるClaudeの「性能劣化」─安全対策が招く「アライメント税」の懸念
- AWSが第5世代の192コア自社開発CPU「Graviton5」を一般提供開始――エージェント型AIワークロードに最適化