米天文学会、衛星コンステレーションが天体観測に及ぼす影響と対策の報告書

2020年8月31日 07:27

地球低軌道に大量の小型人工衛星を配備するブロードバンドサービス用衛星コンステレーションが地上からの天体観測に及ぼす影響と対策について、アメリカ天文学会(AAS)が報告書を公開している(ニュースリリースArs Technicaの記事報告書: PDF)。

衛星コンステレーションは日の出前と日没後に明るく輝いて見え、既に数百基が配備されているSpaceXのStarlink衛星が縞状に映り込んだ天文写真も公開されている。SpaceXでは反射を低減するために衛星の角度を調整するほか、衛星のアンテナ部分を黒く塗ったり、日よけを付けたりといった対策を行っているが、報告書によれば影響を完全になくすには衛星の打ち上げをやめるしかないのだという。

影響を最小限にするため天文台に推奨される対策としては、天文写真から衛星の軌跡をマスクするソフトウェアの開発や、衛星の通過位置や時刻、その他の条件により最適な観測計画を立てるソフトウェアの開発をサポートし、一般の天文学コミュニティーで利用できるようにすることを挙げている。衛星運用者に対しては各種の反射を防ぐ対策を推奨しており、天文台と衛星運用者が協力して反射防止策の効果を観測したり、衛星の位置情報を共有したりといった対策も推奨されている。 

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