ウィズコロナ時代の家計にも環境にも優しい超高層マンションとは?

2020年7月5日 17:50

 緊急事態宣言が解除されてから一月が経つ。ようやく普段の生活リズムが戻り始めたように思えた矢先の7月2日、東京都では107人の感染者が新たに確認された。新たな感染者が100人を上回るのは5月2日以来だ緊急事態宣言下では、外出自粛や在宅勤務が増えたことで食費や光熱費がかさみ、家計を圧迫した。もしも再び、緊急事態宣言が発令されるような事態に陥ってしまった場合、家計への影響も計り知れない。

 動画サービス「クラシル」を運営するdely株式会社が、新型コロナウイルス感染症の拡大によって生活者の食費に対する意識がどのように変化したのかを探る目的で4,589名を対象に実施した「食費に関する意識調査」の結果を見てみると、「今後減らしたい支出」の1位は「食費」の71.4%で、2位は「光熱費」の63.6%となっている。育ち盛りの子どもがいる家庭では、休校で給食が無くなることで、家計への負担も大きくなる。だからといって、量を減らすこともできない。献立を工夫したり、質を落としたりするのも限度がある。しかし、光熱費に関してはまだまだ、各家庭でも改善の余地はあるのではないだろうか。また、一時的なことだけではなく、今後のウィズコロナ時代やアフターコロナ時代を見据えて考えても、住宅の省エネや創エネ性能の向上を図るメリットは大きい。そこで注目を集めているのがZEH(ゼッチ)だ。

 ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、断熱性能などの省エネ性能を高め、さらには太陽光発電などでエネルギーを創出することによって、家庭で使用するエネルギーをまかなえる住宅のことだ。政府はZEHの普及を目指しており、補助金を支給するなどの施策も講じている。多くの住宅メーカーや不動産会社でもZEH対応住宅の提供を積極的に進めている。

 一般的にZEHは戸建ての話だという認識も強い。マンションなどの集合住宅においては通常、屋上などの太陽光発電設備を設置できるスペースが限られており、住戸数分のエネルギーを創出することが難しいからだ。そのため、マンション住まいの人、とくに超高層マンションではZEHの実現は難しいといわれてきた。

 これらにチャレンジしてきたのが積水ハウスだ。昨年、名古屋市に日本初の全住戸ZEH基準を満たす低層分譲マンション「グランドメゾン覚王山菊坂町」を竣工させて話題となった。7月3日に、全住戸燃料電池採用の36階建て超高層ZEH-M(マンション)「グランドメゾン上町一丁目タワー」のモデルルームをオープンに先立ち報道陣に公開した。同物件は、集合住宅のZEH化を促進するための実証事業として新たに開始された経済産業省の「平成31年度 超高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」に採択されたもので、高性能真空複層ガラス「スーパースペーシア」を採用することで、超高層マンションの魅力である眺望を生かせる広い開口面積を確保しながら、高い断熱性能を備え、さらに、各住戸で家庭用燃料電池「エネファーム」を熱源とした床暖房や高効率エアコン、LED 照明等の省エネ設備により、全戸で高い快適性と省エネ性を実現している。また、共用部では太陽光発電も活用しながらし、マンション全体でZEH基準を満たすことに成功している。

 ちなみに同物件のCO2排出削減量は、年間310トンにも及ぶという。コロナ禍で増えた家庭のエネルギー消費を抑えることは、家計にも環境にも優しいというわけだ。

 これまで難しいとされてきたマンションのZEHだが流れが変わってきた。ウィズコロナ時代、アフターコロナ時代ではテレワークや在宅時間などの増加を踏まえた住宅選びのポイントの一つになるのは間違いないだろう。(編集担当:藤原伊織)

関連記事

最新記事