日本人女性の月経周期と基礎体温をビッグデータから解析 東京医科歯科大など

2020年6月13日 17:10

 女性の健康管理や出産などを考えるうえで、月経周期や基礎体温に関する知見は必要不可欠なものである。しかし、女性の月経周期や基礎体温に関する知識は1950年代の研究に基づくデータがあるのみで、現代の状態とは大きく異なるものである。東京医科歯科大学と日本医療研究開発機構の共同研究グループは12日、ビッグデータを用いた解析を行い、新たな知見を得たと発表した。

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 共同研究グループは、エムティーアイが提供する女性の健康サービス「ルナルナ」に記録された、日本人女性31万人のデータを解析に用いた。今回ビックデータを用いて調査したのは月経周期、基礎体温と年齢、季節の関係である。

 これらの関係についての知見が得られた時代は、現代と大きく異なる食生活や生活習慣を有していたため、現代において基盤とはなり得なかった。そこで、今回改めて600万月経周期に相当するビックデータが集められ、現代の状況に則した知見を得ることに生かされた。

 まず、月経周期と基礎体温は年齢によって変化することが今回の解析によって確認された。平均月経周期の長さは23歳でピークを迎え、その後は徐々に短縮して45歳で最も短くなってからは再び長くなる傾向が見られた。また、黄体期の平均体温は年齢によって変化する一方で、卵胞期の平均体温は年齢に拠らずほぼ一定であった。

 また、月経周期は季節による変動はないが基礎体温は卵胞期、黄体期ともに季節変動があることも明らかになった。さらに、居住する地域の気温と基礎体温にも相関関係が見られた。

 これらの結果は、各々の女性が自身の月経周期や基礎体温の状態が標準的かどうかを判断する目安となり得る。これまでは前時代的な知見しかなかったが、今回の研究成果によって現代の環境に則した知見を得ることができた。このことは、女性の過剰な不安を取り除き、適切な医療受診を適切なタイミングで行う一助となり得る。

 現代では女性が活躍しやすく、出産や子育てとキャリアを両立できるような社会の実現が望まれている。そのために今回のようなエビデンスデータを集積することが必要不可欠となってくる。

 今回の研究成果は「Obsterics & Gynecology」誌のオンライン版にて発表予定である。

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