無重力下の長期滞在には頚静脈血栓発症リスクがあるとの研究成果
2019年11月17日 21:12
宇宙ミッションで無重力下に長期間滞在すると頚静脈血栓を発症する可能性を示す研究結果が発表された(論文、 New Scientistの記事)。
地球上で人は体を起こした状態で1日のおよそ3分の2を過ごし、残りの時間は横たわって睡眠をとる。体を横たえると頭から足先に向けた重力による静水圧がかからなくなるため、血液や組織液の再配分が毎日発生する。一方、無重力下では常に頭に向けた血液や組織液の再配分が続く状態となり、顔面腫脹や脚の容積減少、心臓の一回拍出量増加、血漿の減少などがみられる。4か月~5.5か月の宇宙滞在で内頚静脈の容積増加もみられることから、脳静脈の流出量にも影響する可能性がある。
研究は国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在(中央値210日)した各国の宇宙飛行士11名を被験者とし、心エコー装置による測定を出発前と帰還後に各1回、ISS滞在中に2回行っている。ISS滞在中は下半身陰圧負荷(LBNP)装置による25mmHgの陰圧をかけた状態での変化も測定された。その結果、11名中7名に内頚静脈における血流停滞や逆流がみられ、うち1名は1回目の測定後に頚静脈血栓が確認されたことから被験者から外し、帰還まで抗凝固薬による治療を行ったとのこと。
無重力下における内頚静脈の血流停滞や血栓の生成は民間人の宇宙旅行や火星探査など長期の宇宙探査ミッションで人の健康に重大な影響を与える重大な発見であり、宇宙飛行中の血行動態について幅広い評価が必要となる。研究ではLBNPの使用による血流の改善がある程度見られたが、最適な使用時間や頻度は不明であり、LBNPには失神などのリスクもある。そのため、地球上と同じ状態に血管生理を復元する対策について、LBNPを含めて調査する必要があるとのことだ。
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