マラリアの重症化メカニズムに関わる蛋白質の同定に成功 東北大の研究
2019年11月2日 11:32
マラリアは、世界で年間約2億人の患者が発生し、死亡者は約43万人にのぼると報告されており、世界3大感染症の1つに指定されている。したがって、その重症化のメカニズムの解明が急務とされてきた。東北大学の研究グループはそのメカニズムにおいて重要な役割を果たす、熱帯熱マラリアの病原性に関連する「原虫蛋白質」の同定に成功した。
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人に感染するマラリア原虫の中でも最も重篤な症状を引き起こすのが、熱帯熱マラリア原虫である。人の赤血球に原虫が感染すると、大量の原虫蛋白質や宿主蛋白質を放出させながら赤血球の構造を激変させてしまう。その結果、感染した赤血球どうしが凝集することで毛細血管が閉塞を起こし多臓器不全へといたる。
ここで東北大学の研究グループは、放出された赤血球で輸送される蛋白質を網羅的に解析することを試みた。質量解析を行い、蛋白質輸送をつかさどる小胞と複合体を形成している蛋白質を同定。その結果、候補因子として205の原虫蛋白質と51の宿主蛋白質のデータが得られた。
それらの原虫および宿主蛋白質について、実際に蛋白質輸送に関わっているかの確認を行った。共焦点顕微鏡および電子顕微鏡による観察で同定を行い、感染赤血球に輸送される蛋白質を特定することに成功した。さらに、同定した原虫蛋白質をノックアウトした原虫に必須となる遺伝子を同定することにも成功。これらの結果から、マラリア感染赤血球内で原虫および宿主蛋白質の輸送に関する網羅的なデータセットを得ることができた。
原虫の遺伝子についての情報が得られたことによって、それに対抗しうるマラリア薬やワクチンの開発の一助になりうる。
近年では薬剤耐性のある原虫が出現し新規のマラリア薬が求められている。また、ワクチンが未開発なマラリアに対して重症化対策は喫緊の課題となっている。今回の研究成果は、その対策の足掛かりとなるデータセットになる可能性を秘めている。
研究成果は9月27日付の「アイ・サイエンス」誌のオンライン版に掲載された。
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