上昇していく転職率 働く世代はなぜ会社を移るか

2019年6月20日 09:34

 最初に入った会社で定年を迎えるまで働き続けるという事は、これまで多くの日本人にとって当たり前のことだった。中には一つの会社のために勤め上げる事こそが働くうえでの美徳だと感じていた人もいただろう。しかし今までは当然のことでしかなかった終身雇用や年功序列といった考え方そのものが、時代と共に変化を見せ始めているのも事実である。

 ころころと職を変えるのは良くない。たった数年働いただけで他の会社へと移っていくのはいかがなものか。ほんの何年か前までは、日本人の大多数がこのような仕事上の価値観を持っていたはずだ。多少の不満があっても耐える事が真っ当な社会人のあり方であると信じ、一つの会社で真面目に仕事に励んでいれば努力は必ず報われると思っていた人も少なくない。だがいくら忍耐力を身に着けたところで、どれだけ頑張っていたところで、報われる努力ばかりではない現実を今の若い世代は理解している。時代の変化と共に働く世代の意識も変わり、転職に対するイメージが年々ポジティブになっている事実は否めないだろう。

 マイナビでは2016年から18年に転職した人を対象に転職動向調査を行った。この3年間で20代から50代の転職率は3.7%、4.2%、5.3%と年々増加傾向にあり、特に20代男女の割合が高い事も判明している。今までは働けば働くほど、あるいは勤続した年数が長くなるほど給料等の待遇が良くなる傾向が強かった。それに比べて現代はと言えばいくら働いても収入が増えず、同じ環境で働き続けることに価値や将来性を見出せない状況も多々ある。物心ついた頃から景気の悪さを実感できてしまえた世代にとって、一つの会社に固執するよりも新たな可能性を追い求めて別の会社に移っていく方が賢い選択となるのだろう

 今回の調査では全体の6割が転職を前向きな行動であるとして肯定的に捉えている事が分かった。20代に絞ってみれば、肯定的な意見は更に7割へと上昇する。時代が変われば人の行動も変わっていくのが自然な事だ。社会人として働いていくうえで転職という選択肢が人生の中に組み込まれるのは、現代の若者の価値観を想像してみれば当然の事と言えるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)

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