【編集長の視点】イトーキは反落も1Q連続減益業績を織り込み「テレワーク・デイズ」の関連需要を先取り余地

2019年6月18日 09:37

 イトーキ<7972>(東1)は、前日17日に15円安の426円と反落して引けた。東証第1部の売買代金が、活況の目安となる2兆円を再び下回り、日経平均株価も膠着感を強めるなか、6月3日につけた年初来安値391円からの底上げ途上にある同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下値では、25日移動平均線を前に下げ渋る動きもみせており、今2019年12月期第1四半期(2019年1月~3月期、1Q)決算の連続減益は織り込み済みとして値ごろ割り負け株買いが交錯した。今年7月1日には、2019年の「テレワーク・デイズ」のプレイベント開催が予定されていることから、働き方改革関連の人気再燃が期待され、テクニカル的にも、5日移動平均線が25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現し上昇トレンド転換を示唆していることも、買い手掛かりとなっている。

■在宅テレワーク用のチェアなどを新発売し「XORK」のショールーム機能をフル稼働

 同社の今期1Q業績は、前年同期比4.3%増収、10.6%営業減益、11.9%経常減益、22.1%純益減益となった。昨年10月に働き方改革のワーキングショールーム機能を持たせた新本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)」を新規にオープンし、ここを拠点にしたオフィスプランのトータル提案営業により首都圏や都市部の新築・移転需要やリニューアル需要を取り込み売り上げは続伸したが、利益は、原材料・部材の購入原価アップや新本社オフィスの家賃負担、新規事業推進のための先行投資費用などが重なり連続減益となった。

 ただ1Q業績は、今12月期通期予想業績に対して、利益が、67~72%の高進捗率を示しており、このため12月通期業績は、期初予想を据え置いた。売り上げ1230億円(前期比3.6%増)、営業利益31億円(同60.8%増)、経常利益30億円(同26.7%増)、純利益17億円(同1.5%減)と見込み営業利益、経常利益はV字回復する。純利益は、固定資産売却益を前期に計上しこの一巡で小幅な減益が続く。働き方改革関連法が、今年4月1日に施行され、この関連需要の取り込みに向け「XORK」ショールーム機能を最大限に発揮するとともに、昨年10月にオランダのワークスタイルコンサルティング企業Veldhoen社と業務提携し、同社の統合的ワークスタイル戦略「ABW」を導入して働き方改革のコンサルティング事業を強化することなどが寄与する。また同社は現在、3カ年の中期経営計画を推進中で、こうした成長戦略の推進により最終年度の創業130周年に当たる2020年12月期に売り上げ1280億円、営業利益65億円、経常利益67億円を目指している。

 なお「テレワーク・デイズ」は、来年2020年7月24日に開会式を迎える東京オリンピックの1年前の本番テストとして7月22日から9月6日まで約1カ月開催され全国で3000団体、60万人の参加を計画しており、同社は、今年5月29日に在宅テレワーク用のチェア「SALIDA(サリダ)YL9」を新発売したほか、「XORK」を有効活用してアピールする。

■ミニGC示現で上昇トレンド入りを示唆し値ごろ低PER・PBR株買いが再燃へ

 株価は、今年2月の年初来高値638円から世界同時株安の波及で下値を探り、令和相場入り後の続落相場のなかで500円安値まで調整し、今期1Qの連続減益業績で年初来安値391円まで売られた。同安値は、PERが10倍台、PBRが0.38倍、配当利回りが3.32%と売られ過ぎが明白として底上げ転換した。足元では5日線が25日線を下から上に抜くミニGCを示現して上昇トレンド転換を示唆しており、低位値ごろ割安株買いが再燃して年初来高値から年初来安値への調整幅の3分の1戻しの473円を奪回し、半値戻しの514円を早期の戻りメドとなろう。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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