ザ ヴィリディアンの2019年秋冬メンズ 典型と異端、時間軸の交錯で見えた今

2019年2月28日 09:46

 ザ ヴィリディアン(The Viridi-anne)の2019年秋冬メンズコレクションは、前シーズンの2019年春夏コレクションから引き続き、テーマをタイム(Time)と掲げた。

■過去と未来から見た“今”のファッション

 ザ ヴィリディアンの“タイム”は、過去と未来を交錯させる。メンズファッションの古典的かつ典型的な装いと、テクニカルでモダンな装い、2つを共存させたコレクションは、その交差点となり、もっとも“今風”の装いを完成させる。

 クラシカルな部分を言及するならウールのジャケット。ジャケットはラペルをつける前、仮縫いが残っているその状態を完成品としている。スタイリングしたのは、スポーティなサコッシュ、そして共布のベルトが付属する2タックのワイドパンツだ。

 ラグジュアリーなムートンコートは、クラシカルかつラグジュアリーに紐づくアイテムだが、今季はその魅力を故意に半減させて、現代的な魅力で補完している。前合わせ部分と高い襟元はムートンだが、前身頃の半分より後ろにかけてはダウンを採用し、ムートンがもつナチュラルな機能性に人工的機能性をプラスしている。

 クラシックとモダンの競演が見えるのは、テクスチャーのミックスにおいても同じ。ノーカラーのシャツは、シワ加工を施すことで中性的な色気を纏わせつつ、時間の経過をそこはかとなく感じさせている。アウター群は、ハリのあるテクニカル素材によって、機能性を兼ね備えると同時に、力強いモダンなシルエットを構成している。

■ディテールから感じるモダンな機能美

 今回は変形するディテールも特徴のひとつ。その様は従来を考えれば異端的だ。例えばレザージャケットは、センターバックにジッパーが走っており、ぴったり身体に添うラインだけでなく、変形させた裾広がりのシルエットも楽しめる。ダウンブルゾンも同じくジッパーを両アームをまたぐように配して、ボリュームのあるシルエットへと導くディテールとして活用されている。

 シャツは、ジッパーではなく腕やバックスタイルにボタンを並べた。肩から袖口まで大きく広がる袖のデザインは、まるで鳥の翼のように広がって、インナーとのレイヤードを一段と楽しくさせる。

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