JAXAによる「はやぶさ2」の説明会 見えて来た課題

2018年11月9日 21:01

 8日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機はやぶさ2の運用状況について説明会を行った。前回のリハーサルで投下したターゲットマーカは、タッチダウン候補地の中心点から15.4メートルの地点に落下した。理想としては半径10メートル以内におさめたいところだ。また低高度で動作するレーザ・レンジ・ファインダ(LRF)による制御にも成功した。LRFは直下ではなく四方にレーザーを出して高度計測を行う。来年1月末以降のはやぶさ2のタッチダウンに向けて、問題となる1つに「高度5メートル以下になると地表真下の様子がわからないことが挙げられる」とJAXA宇宙科学研究所、研究総主幹の久保田孝教授は語る。

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 もう1つ問題がある。来年の7月に分離・運用予定のMINERVA-II2(ローバ2)について、製作側の大学コンソーシアム代表である東北大学大学院工学研究科の吉田和哉教授から説明があった。その説明によると、FPGA(書き換えが可能な集積回路のことで、回路を無制限に変更することができる)の電源を「ON」にしても、初期値が正常な値にならず、データ処理系が動いていない状態にあることがわかった。

 はやぶさ2の打ち上げ後も3回の動作チュックを行っており、はやぶさ2とローバ2との間で通信が確立されていることは確認できている。しかしローバ2の内部状態に関する、遠隔計測データの取得は出来ておらず、復旧の可能性が厳しい状況である。

 大学コンソーシアムは東北大学、東京電機大学、大阪大学、山形大学、東京理科大学によって構成されている。現段階でローバー2を分離・投下した場合、山形大学の分担であった地表の熱の変化でホッピングする部分は動作するが、東京理科大学が作成したカメラ機能を利用出来る可能性は低く、ローバー2の位置情報などを把握することは出来ない状態だという。現在JAXAの協力も得て、何が出来て何が出来ないか等、大学コンソーシアムで検討を行っているところだ。

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