【2019春夏NYメンズ ハイライト】ミニサイズ化するNYメンズ 日本のN.ハリウッドらがショー

2018年7月18日 19:10

 2019春夏シーズンのニューヨーク・メンズ・ファッション・ウィーク(以下、NYMF)が、2018年7月9~11日に米・ニューヨークで開催された。  ニューヨークではコレクションの発表時期に異変が起きている。「アメリカファッション協議会(COUNCIL OF FASHION DESIGNERS OF AMERICA以下、CFDA)」が主宰する、ニューヨーク・ファッション・ウイーク(以下、NYFW)は今年6月3~7日に暫定的なコレクション発表を行った。  参加ブランドは「アレキサンダー ワン(Alexander Wang)」を始めとして、「ナルシソ ロドリゲス(narciso rodriguez NARCISO RODRIGUEZ)」「ロージー アスリン(ROSIE ASSOULIN)」「ロロド(LOROD)」の4ブランドだ。  NYFWは9月に次年度の春夏コレクションの発表を行うのが恒例だ。ところが「アレキサンダー ワン」が、コレクションの発表を今後一年に2回に集約していくために、6月に春夏コレクションの発表を変更。それに伴いミニサイズのNYFWの開催となった。  「アレキサンダー ワン」は6月3日に、「コレクション1」と名づけて、ウィメンズとメンズのコレクションを同時に発表した。  また「サンローラン(SAINT LAURENT)」も6月に、ニューヨークで2019春夏メンズコレクションのショーを開催した。これはアンソニー・ヴァカレロがクリエイティブディレクターになってから、初のメンズ単独のショーであり、かつて70年代にサンローランが香水「オピウム」の発表をニューヨークで行ったことにちなむものだ。  一方、NYMFは6月の2週目に開催された。9日には「ニューヨークメンズデイ」として合同の展示会が開かれ、日本の「ターク(TAAKK)」らも参加した。しかしながら今季はメイン会場もなく、参加ブランドも減り、ショー全体が縮小傾向となっている。その中でランウェイを打ったブランドからハイライトをレポートしよう。 N.ハリウッド(N.Hoolywood)

 尾花大輔が手がける「N.ハリウッド」は、10日にチェルシーでランウェイショーを打った。  ファーストルックは、オレンジ色のチェックで、ブランケットを思わせるオーバーサイズのアウターに、足元はカラーブロックしたソックスでスポーティさを組みあわせてみせた。  フリンジやチェックなど、ネイティブ・アメリカンや南西部のモチーフが色濃く表れた。ドロップショルダーのオーバーサイズのトップスにワイドパンツ、ビッグサイズのショートパンツなど、尾花大助らしいボリュームあるシルエットが続く。  そこに裾にスリットが入ったトラックパンツや、鮮やかな色のトラックジャケット、ベースボールジャケットなど、アスレティックなモチーフが組み合わさって、「N.ハリウッド」らしい世界観が打ち出された。  また「ディッキーズ(Dickies)」のワークウエア、および「アンブロ(Umbro)」のスポーツウェアとのコラボレーションも披露された。足元はカラフルなソックスに、カラフルなサンダルを提案してみせた。 ・「N.ハリウッド」2019春夏メンズコレクション グスタフ・フォン・アッシェンバッハ(Gustav Von Aschenbach)

 ロバート・ゲラーが手がける「グスタフ・フォン・アッシェンバッハ(以下G.V.A)」は、7月10日に3シーズン目になるランウェイを「インダストリア・スタジオ」で打った。  モデルに混じってダンスカンパニー、「ハーレム・シェイク」のメンバーがランウェイを歩き、ブレイクダンスを披露。ブランドが立脚するストリートカルチャーを象徴してみせた。  今回のコレクションの特徴としては、タイポグラフィが大きく扱われたことだ。グラフィックデザインの金字塔である、スイスのバーゼル造形学校のエミール・ルダーらのタイポグラフィを再解釈して、ブランドのロゴも新たに造形。ジャケットの背中やTシャツなどに、ロゴやタイポグラフィをあしらった。  シルエットはG.V.A.らしいリラックスしたラインで、素材はすべて日本製であり、風合いも凝っている。ワークジャケット、クロップド・ジーンズ、トレンチ、カーゴパンツ、ポロシャツ、縦ライン入りのトラックパンツ、ショートパンツなどが登場し、ストリートウェアとワークウエアを融合してみせた。  色彩パレットの美しさも定評あるところで、ベージュやグレー、ライトピンクといった中間色に、イエロー、ボトルグリーン、ネイビーなどのカラーが差しこまれていく。首元にはフーシャやネオンイエローのネッカチーフで、鮮やかな差し色を加えた。  最後には「ハーレム・シェイクス」のメンバーたちが踊る、ダンスバトルとなって、ストリート感が溢れた。 ・「グスタフ・フォン・アッシェンバッハ」2019春夏メンズコレクション トッド スナイダー (Todd Snyder)

 「トッド スナイダー」の19年春夏コレクションのテーマは「アメリカン・ツーリスト」。ファーストルックにはスーベニール風の風景写真がプリントされたTシャツに、タック入りのパンツ、そしてカンゴールのバケットハットが登場。  ランウェイには80年代後半から90年代前半にかけてのヒット曲がかかり、ノスタルジックなムードを盛りあげた。  タンクトップやジム・ダッフル、トッド・スナイダーのロゴがあしらわれたカラフルなサッカー・スライド、プレイドのサックスーツ、ニーレングスのパンツ、トラウザーに縦のラインをあしらったシアサッカーのスーツ、サテンのボマージャケット、タイダイ、ハワイアンプリントなどが次々と登場。カンゴールのバケツハットを多用して、80〜90年代感が醸し出される。  白いソックスにローカットのスニーカーを合わせたり、スーツにサンダルを合わせたりする着こなしの提案で、ナード・シックともいえる世界を展開。  トッド・スナイダーの得意とするコラボが多く登場して、チャンピオン、レイン・スプーナー、ノヴェスタ、リーヴァイスの「リ/ダン」、カンゴール、モスコットの眼鏡といったコラボレーションが披露された。 ・「トッド スナイダー」2019春夏メンズコレクション

 さて今後のNYMFWの行方が気になるところだが、CFDAは2019年から6月の第1週目に開催すると発表。開催時期を6月に変更することによりロンドンやミラノ、パリなどヨーロッパ各都市のファッション・ウイークに先駆けての開催となる。  一方、2月に開催する秋冬のNYMFWは、引き続きウィメンズのNYFWと合体した形で催される。開催時期のずらし方が今後どのようにニューヨークファッション業界に影響を与えていくか、気になるところだ。   (取材・文:黒部エリ)

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