猿が撮影した写真の著作権侵害、米控訴裁判所が訴訟を棄却

2018年4月29日 13:56

米連邦巡回区第9控訴裁判所は23日、野生のクロザルが撮影した写真の著作権侵害をめぐる訴訟を棄却した(裁判所文書 : PDFArs Technicaの記事The Registerの記事The Vergeの記事)。 写真は英国の野生動植物写真家David Slater氏のカメラを使ってクロザルが撮影したものだ。Slater氏が自身の著作物として写真集などを出版したことから、写真を撮影したクロザル「Naruto」の著作権を侵害したとして、動物愛護団体PETAがNarutoの代理(Next-Friend: 近友、訴訟を提起する力のない者に代わって訴訟を提起する人)としてSlater氏らを訴えていた。 一審ではクロザルに著作権は認められないとして訴訟を棄却したため、PETAが上訴。しかし、控訴裁判所での口頭弁論の後、和解が成立したとして訴訟の取下げ申立をSlater氏側と共同で提出する。これに対し、控訴裁判所はNaruto自身が和解に合意していないなどの理由で申立を却下していた。 控訴裁判所では動物が訴訟を提起する権利を認める一方、著作権の認められない動物が著作権を侵害されたとして訴訟を提起する権利はないと判断し、一審判決を支持している。Slater氏側が要求していた控訴審での弁護士費用負担も認めた。 意見書ではNarutoと特に関係のないPETAが近友として訴訟を提起できない点や、動物の近友は認められない点を指摘。また、裁判で旗色が悪いとみたPETAがNarutoの利益とは無関係に和解を進めたことについて、PETAはNarutoのためではなく自らの利益のために訴訟を起こしたと批判している。 

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