幼児教育無償化、政府試算で1.2兆円必要 消費税を財源に

2017年10月5日 08:54

 安倍首相は、「人づくり革命」の目玉の一つとして幼児教育無償化を打ち出した。消費税を8%から10%へ増税した場合、5.6兆円の増収が見込まれる。このうち借金返済に充当される予定だった額は4兆円だ。

 政府はこのうちの2兆円を幼児教育無償化の財源に充てる方針を示した。政府の試算によれば、0~5歳児のいる全世帯で無償化をすると最大1.2兆円の財源が必要だ。これでは財源不足である。

 収入制限を設けて、一般サラリーマンの平均所得に近い680万円以下の世帯収入の家庭を対象とした場合、2300億円の財源が必要となる。これを世帯収入360万円以下まで落とすと財源は500億円ほどで足り1兆円を下回ることになる。政府はこれで余剰が出た部分を大学生の給付型奨学金の拡充、待機児童の解消に向けた保育施設の環境整備等に充当する方針だ。

 政府は社会保障と税の一体改革に取り組んでいるが、既に本年4月より全世代型の社会保障制度の推進として「子ども・子育て支援新制度」を実施している。これは「支援の量を拡充 必要とするすべての家庭が利用できる支援」および「支援の質を向上 子どもたちがより豊かに育っていける支援」をめざしたもので、主に「幼稚園・保育園に加えて認定こども園の普及を図り、また、地域型保育を新設し、待機児童の多い3歳未満児の保育を拡充する」など保育支援提供側の施設やサービスの拡充といったものである。これに対して「幼児教育無償化」は直接家計の教育費支出を軽減するもので大きな効果が期待される。

 日銀の「家計の金融行動に関する世論調査:28年版」を見ても、家計が貯蓄をする目的として老後資金のほか教育資金が上位ランクしている。教育費による家計圧迫が少子化の原因の一つになっていることは間違いないであろう。貯蓄額の増加は消費支出の抑制でもあり景気と言った点からもマイナス効果を持つ。

 麻生政権時代に答申があった「社会保障国民会議」の中でも社会保障事業をマクロ成長投資事業として捉えている。何年か前の世論調査でも消費税増税それ自体については70%以上の国民が「賛成」とまでは言わないまでも「仕方がない」と回答している。

 消費税増税による増収分を適切な社会保障分野に投資し、少子高齢・人口減少社会でも持続的成長が可能なマクロ経済構造へと変えていってほしいものである。その中で「人づくり改革」としての幼児教育支援政策はきわめて重要であることだけは間違いない。(編集担当:久保田雄城)

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