アスクル物流センターの火災に見る、太陽光発電システムの消火困難

2017年3月18日 20:53

 鎮火まで丸12日間もかかったアスクル物流センターの火災。同社の首都圏における中核施設だったため、流通業界に衝撃が走った。消火まで長時間を要した一因として、屋上に設置されていたソーラーパネルによる、感電の恐れが指摘されている。

 2月16日に出火し、28日にようやく鎮火したアスクル物流センターの火災。「翌日配達」をうたう同社のサービスにも大きな影響を与えたが、一部の報道において「屋上に設置されたソーラーパネルが消火のための放水を妨げた」との指摘があった。あまり知られていないが、ソーラーパネルには、火災による破損や消火時の放水で感電するおそれがある。

 ソーラーパネルは、たとえ壊れていても、太陽光や炎の光を浴びると発電を継続する性質がある。さらに消火のために棒状の放水を行なうと、その水流から電流が伝わってきて放水者が感電する危険がある。消防庁消防研究センターは「放水を水滴または霧状にすれば感電の危険を減らせる」との研究結果を発表しているが、緊急時の消火体制では難しい場合が多い。

 また、残り火の消火や、消火した後の確認のために近づいても感電する危険性がある。消防隊員は手袋や長靴などの個人装備を着用しているが、これらの一般的な装備を身につけた消火活動においても、感電した、または感電しかけたという事例が報告されている。ソーラーパネルに直接触れなくても、断熱材などを通じて「手に電撃を感じた」などの証言もあり、感電の衝撃で屋根やはしごから転落してしまう危険性も指摘されている(2014年3月消防庁消防研究センター「太陽光発電システム火災と消火活動における安全対策」より)。

 このように、ソーラーパネルが設置されている建物においては、電力会社が電力を遮断した後でも感電のおそれがある。屋根や天井裏に設備や配線があるため、それらの位置と稼働状況を確認しつつ、消火や消火後の処理をおこなうことが推奨されている。

 一般家庭にも広く普及しているソーラーパネル。だが、いざ火災となった際には、このような感電リスクもあることはあまり周知されていない。火災の消火にあたる消防隊員はもちろん、設置されている建物の住民または利用者にも、これらの知識の普及が必要だと言えよう。(編集担当:久保田雄城)

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