全身の細胞が持つ「概日時計」の機構を理研などが解明へ

2017年1月14日 22:58

 理化学研究所生命システム研究センターらの共同研究グループは、生物の多くが持っている24時間周期のリズム(概日時計)の周期の長さを決定するのに、タンパク質の特定の領域が関わっていることを明らかにした。さまざまに機能を変化させたタンパク質を持つ遺伝子改変マウスを並列的に作製する手法「遺伝子導入マウス個体高速作製法」を確立。同手法により、特定のタンパク質を複製する遺伝子を組み込んだものに関して、概日時計機能を失ったマウスでの機能補完が確認された。概日時計を動かすためにはCRY1タンパク質の特定の領域が深く関与しているが、このタイマー領域での、タンパク質機能の制御の一種「リン酸化修飾」が正確に24時間の周期を刻む役割を果たしている可能性が示唆された。

 今後、このタイマー領域のリン酸化を薬物で制御することで、概日時計の周期長の効率的にコントロールが可能となり、概日リズム睡眠障害等の治療につなげるとのこと。また、遺伝子導入マウス個体高速作製法により、これまで1年以上かけて作製していた遺伝子改変マウスを数カ月で作製できようになり、研究期間の短縮への貢献が期待される。

 概日リズムは、体温や血圧、ホルモン分泌など重要な生命機能のリズムをつかさどっていて、そのメカニズムの解明が進んでいる。全身の細胞が持つ概日リズムはバクテリアなどの原生生物でも確認されるが、哺乳類では環境の明暗周期と一致してこれを補完するための同調機能を持っていることが知られる。この同調機能の中枢は視床下部の「視交叉上核(SCN)」と呼ばれる部分で、こちらの働きについても研究が進められている。最近では2014年、京都大学の研究により、SCNにはさまざまな時間に概日時計のピークを迎える細胞を持ち順序を保つことで、海外へ行ってもしばらくはもとのロケーションの概日時計を保てるような頑強性を獲得していることが示された。こうした概日時計の研究は、良質な睡眠の獲得や時差ぼけの治療にも応用できると考えられ、さらなる解明が期待される。(編集担当:久保田雄城)

関連記事

最新記事