【2017年の展望】電子書籍市場、拡大のカギはサービス発展とデバイス普及

2017年1月3日 23:04

 電子書籍市場は拡大の一途をたどっており、2017年以降もこの傾向が継続するとみられる。インプレスによれば、日本の電子書籍市場は17年度には15年度の1.4倍にあたる2280億円(雑誌含め2660億円)規模に拡大すると見込まれている。飽和状態との声もある電子書籍市場だが、9月にジャストシステムが実施した「電子書籍に関する実態調査」によれば、電子書籍の利用経験者はいまだに41.2%にとどまっており、利用経験のない人のうち20.7%は利用を検討していることがわかっている。16年より本格的な普及をみせている「読み放題型」サービスに関しても、まだまだ伸び代がある。電子書籍の利用を検討している人の25%で「読み放題型」を検討しており、今後も徐々にサービスの普及が進むと見込まれる。

 現在、電子書籍の主要なサービスモデルには、米Amazonの「Kindle Unlimited」などが採用する「読み放題型」、月額課金に応じたポイントが付与されそれをコンテンツ購入に充てる「月額課金型」、読みたいコンテンツを都度購入する「個別課金型」がある。電子書籍利用経験者での、各モデルの利用比率は「読み放題型」が18.1% 、「月額課金型」が10.4%、「個別課金型」が70.4%となっている。また、この3つのモデル以外の利用者も17.5%と、一定数存在することがわかる。電子書籍においては、流通経路が紙媒体のものよりもダイレクトなため、コンテンツによっては割引などのキャンペーン実施や流動的な価格設定が可能となる。また、音声や画像、動画といったマルチメディアやWebサイト・サービスとの連動とも相性がよい。このような電子書籍の特性から、「セルフパブリッシング」や「広告型」といった多様なサービスモデルの展開が生まれている。これらのポテンシャルは高いと考えられ、多様な電子書籍サービスの発展が市場を押し上げるとみられる。

 特に注目したいのが、オーディブルタイプの書籍(オーディオブック)だ。IoT家電が普及の兆しを見せていることもあり、次第に生活の中に音声が入りこんできている。デバイスにしゃべりかけることもあれば、デバイスの発する音声を聞く機会も増えるだろう。そんな流れのなかで、デバイスに朗読してもらう、オーディブルタイプの書籍は、情報を取り入れる手段として、あるいは娯楽や芸術鑑賞の一環として生活に馴染むのではないか。前述ジャストシステムの調査によれば、オーディブルタイプの書籍を「利用したことがある」人が11.9%だったのに対して「興味はあるが利用したことはない」人が23.5%に及んだ。また、「知らない」、「よくわからない」人も合計39.4%おり、認知度が上がることで市場が拡大する可能性がある。すでに米国におけるオーディオブック市場は堅調に推移しており、オーディオブック利用経験者は43%。16年では前年比30%代後半の伸びが確実視されている。日本においてのメインプレイヤーは07年サービス開始のFeBeと昨年7月日本上陸のAmazon傘下、米Audibleとなり、コンテンツの拡充や新たな有力プレイヤーの参入が期待される。

 市場拡大のカギを握るもう一つの要素は、電子書籍リーダーなど閲覧デバイスの進化と普及だ。元来、電子書籍市場の伸びは閲覧デバイスの進化と普及に連動してきた。以前は電子書籍がそれぞれ固有のフォーマットによって電子データ化されていたため、所有する閲覧デバイスの対応フォーマットにより閲覧可能な書籍に制約があった。しかし現在では、デバイスおよびアプリが主要なフォーマットすべてに対応しているため、こうした制約を意識することなく電子書籍の購入・閲覧が可能となっている。さらなる積極的な電子書籍体験の拡張には、快適に閲覧できていつでもどこでも使用できる電子書籍リーダーの普及が欠かせない。実際、電子書籍リーダーの利便性や性能の向上は目覚ましく、軽くて目にもやさしいのはもちろん、バッテリーの持ちが数カ月持続するものまで出てきている。前述ジャストシステムの調査から、月額読み放題利用者では電子書籍リーダーの購入を25%の人が「具体的に検討」しており、21.4%の人が「前向きに検討」していることがわかっている。

 今後、電子書籍サービスの多様化と発展およびデバイスの進化と普及をベースに、電子書籍の認知度・利用率は上がると考えられる。20年には電子書籍(雑誌含む)市場の比率が紙媒体のものの2割程度に達するとの試算もあり、コンテンツやTPOにより読書のスタイルを使い分けることが一般的になっていくだろう。(編集担当:久保田雄城)

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