道具を使って虫を捕まえるカラスの一種は、くちばしが特殊な形に進化していることを発見―慶大・松井大氏ら

2016年3月16日 22:05

 慶應義塾大学修士2年の松井大氏、伊澤栄一准教授らの国際研究グループは、様々なカラス類の嘴の3次元形態を比較解析し、小枝などを加工して道具として使うことが知られているカレドニアガラスの嘴(くちばし)が、道具の使用に適した特殊な形態に進化していることを発見した。

 近年、霊長類とは系統的に離れた鳥類の一部でも道具使用が進化していることが発見されており、中でもニューカレドニアに生息するカラス「カレドニアガラス」は、小枝や葉を鉤爪状に整形し、それを嘴で咥えて木などに潜む虫をとって食べることが明らかになっている。

 今回の研究では、カレドニアガラスをはじめとするカラス類10種とキツツキ1種の標本を使用し、CT撮像によってデジタル3次元化した頭部形態を比較する解析を行った。その結果、カレドニアガラスの嘴は、一般的なカラスにはみられない、道具使用に適した特殊な形態であることがわかった。

 カレドニアガラスの嘴は顔の正面に向かって真っ直ぐに伸び、かつ、上下の嘴の噛み合わせが平面をした形になっていた。この嘴のおかげで、カレドニアガラスは、道具を顔の正面で強く握ることができ、嘴と道具を一体化させることで、道具操作を可能にしていると考えられる。

 他の9種のカラスの嘴は、程度の差こそあれ、下向きに曲がっていた。このような曲がった嘴では、小枝を安定して挟むことはそもそも難しく、しっかり挟むと道具が顔の横側(かつ下側)に向いてしまい、道具自体が見えにくくなる。

 今回の研究成果は、鳥の行動の理解だけでなく、道具を作り使うという複雑な行動がどのように生み出されたのかという私たちヒトの進化についても、重要な手がかりを与えることが期待されるという。

 なお、この内容は「Scientific Reports」に掲載された。論文タイトルは、「Adaptive bill morphology for enhanced tool manipulation in New Caledonian crows」。

関連記事

最新記事