米国株式市場見通し:雇用統計に注目、労働市場の堅調さを確認できるかが焦点

2015年8月1日 14:56


*14:57JST 米国株式市場見通し:雇用統計に注目、労働市場の堅調さを確認できるかが焦点
週初は、連邦公開市場委員会(FOMC)の協議結果を見極めたいとの思惑から手控えムードとなる中、中国株式相場が8年ぶりの大幅下落となったことで、世界主要株価が全面安となり、米国株も軟調推移となった。週半ばに入り、7月消費者信頼感指数が予想外の大幅低下となったことで利上げ観測が後退したほか、好決算や中国株式相場の反発、FOMC声明を受けて反発に転じた。NY原油先物相場が上昇したことも支援材料となった。FOMCでは労働及び住宅市場の改善を指摘しながらも、利上げ方針については慎重に判断する姿勢を維持し、利上げ開始時期については具体的な発言を避けた。週末にかけては、4-6月期GDP速報値や週間新規失業保険申請件数が予想より減少したことで年内の利上げ観測が拡大したほか、原油価格の下落が響き、エネルギー関連企業決算が悪化したことから下落。結局、週を通じて主要株価は上昇した。

宅配・航空貨物のユナイテッド・パーセル・サービスは決算内容が好感され、堅調推移。医薬品メーカーのギリアド・サイエンシズは、好決算を発表し通期の売上高見通しを引き上げたことで堅調推移。ソフトウェアのマイクロソフトは、「Windows10」をリリースし上昇。通信大手のTモバイルUSは、決算内容が好感されたほか通期の契約者見通しを引き上げ上昇。一方で、短文投稿サイトのツイッターは、ユーザー数の伸び悩みが嫌気され、急落となった。ソーシャル・ネットワークのフェイスブックやスーパーマーケットのホールフーズも、決算内容が嫌気され下落。エネルギー大手のエクソン・モービルやシェブロンは、原油相場下落の影響から大幅減益となり、売られた。

FOMC声明では、利上げ時期に関して明確な手掛かりは示されなかったものの、引き続き年内に利上げされる可能性は高く、今後は経済指標の良し悪しによって利上げ時期を占う展開となる。先週発表された4-6月期GDPは個人消費や輸出、住宅建設が伸びたことで、天候不順などの影響を受けた1-3月期から景気回復が示されたが、今週は雇用統計で労働市場の堅調さを確認できるかが焦点となるだろう。また、先週初めに上海株価指数が再び下落したことで、中国経済の先行き懸念が拡大している。1日には中国の7月製造業PMIが発表されるが、内容次第では週明けの米国株式相場にも影響を及ぼす可能性もあり、注意が必要だ。

企業決算では、携帯電話のスプリント(4日)、革製品メーカーのコーチ(4日)、旅行予約サイトのプライスライン(5日)、電気自動車のテスラ・モーターズ(5日)、製薬のマイラン(6日)やアラガン(6日)、クーポン共同購入サイトのグルーポン(7日)が予定されている。先週、イスラエルの製薬テバ・ファーマスーティカル・インダストリーズがアラガンの後発薬部門を405億ドルで買収することに合意した。買収合意を受け、テバが同業マイランに対する買収案を撤回したことからマイラン株が大幅下落となったほか、今後は保有するマイラン株4.6%を売却する可能性が高く、マイラン株には売り圧力が継続しそうだ。

また、ウォルト・ディズニー(4日)やタイム・ワーナー(5日)、20世紀フォックス(5日)、CBS(5日)、ディッシュ・ネットワーク(5日)、バイアコム(6日)、ケーブルビジョン(7日)など多くのメディア及びケーブルテレビ大手の決算も予定されている。先月、TモバイルUSとディッシュ・ネットワーク■との買収交渉が難航していることが報じられた。TモバイルUSは先週、好決算を発表したものの、成長拡大には今後のオークションなどで特性に優れる低周波数帯を獲得する必要がある。今週は、スプリントの決算が予定されており、内容次第では再び、両社の合併交渉再開の機運が高まるとの見方も出ている。

経済指標では6月個人所得・支出(3日)、7月ISM製造業景況指数(3日)、6月製造業受注(4日)、7月ADP雇用統計(5日)、7月ISM非製造業景況指数(5日)、7月雇用統計(7日)の発表が予定されている。雇用統計では、非農業雇用者数が22万5000人増、失業率は5.3%増と前月から横ばいが予想されている。

(Horiko Capital Management LLC)《FA》

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