新型基幹ロケット、名称は「H3」に決定

2015年7月2日 17:54

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月2日、H-IIAロケットやH-IIBロケットの後継機として開発中の新型基幹ロケットについて、名称を「H3」に決定したと発表した。

 H3は「エイチ・スリー」と読む。選定理由について、JAXAによると、まず「H」については、これまでのH-Iロケット、H-IIロケット、そしてH-IIA、H-IIBロケットといった、液体水素を使うロケットの系譜に連なる機体であることを示しているという。この「H」は、水素の元素記号「H」から採られている。またこれまでHシリーズのロケットが培ってきた信用度を受け継ぐ狙いもあるとされる。
 
 「3」となった理由については、H-IIAがH-IIの改良型であったのに対し、コンセプトを根本から見直したロケットであるため、「H-IIC」などではなく、2から3へ、数字がひとつ新たに加えられることになった。

 また、これまでN-Iに始まり、H-IIA、H-IIBにいたるまで、数字の部分はローマ数字が使われていたが、H3ではアラビア数字の「3」が正式な名称となった。またHと数字との間のハイフン記号も省かれている。

 JAXAによると「IIと混同しない明確さ」と「報道などでの実質的な認知度・知名度」がその理由だという。

 なお、JAXAによると、H3という名称とは別に、なんらかの愛称を与えることをプライムコントラクターである三菱重工業と検討するという。ちなみにH-IIAロケットには、当初「金太郎」という愛称が与えられる予定だったが、先代のH-IIロケットが5号機と8号機で連続失敗したことで見送られたという歴史がある。

 H3ロケットは、現在運用中のH-IIAロケットやH-IIBロケットの後継機で、日本がロケットを自由に打ち上げることができる自律性を確保しつつ、国際競争力を高め、欧州や米国、ロシアがシェアの大半を握る衛星打ち上げ市場へ本格的に参入することを目指している。

 2011年度から研究が始まり、2013年から開発に入っている。2015年度は基本設計が行われており、各種システムや部品などの設計や、H3で必要となる技術の要素単位での試験が行われることになっている。

 開発が順調に進めば、2020年度に試験機が打ち上げられる計画となっている。

■JAXA | 新型基幹ロケットの機体名称決定について
http://www.jaxa.jp/press/2015/07/20150702_h3_j.html

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