新興市場見通し:6月IPOに向けた換金売りが重しだが底堅い展開に
2015年6月6日 15:07
*15:07JST 新興市場見通し:6月IPOに向けた換金売りが重しだが底堅い展開に
先週の新興市場は、日経平均の連騰記録が12でストップし、その後は底堅さを見せながらもやや利益確定売り優勢となるなか、中小型株への資金シフトの動きもあり相対的に堅調に推移した。ここまでマザーズ指数の上昇をけん引してきたバイオ株は軟調だが、テーマ株や直近IPO銘柄が買われるなど循環物色が継続している。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.5%であったのに対して、マザーズ指数は+0.3%、日経ジャスダック平均は+0.8%だった。マザーズ指数、日経ジャスダック平均ともに年初来高値圏での推移が続いている。
個別では、マザーズ時価総額トップのミクシィ<2121>が週間で0.3%高と堅調、ジャスダックのガンホー<3765>は同10.3%高と大幅に上昇した。ガンホーが今月中にも東証1部への市場変更を申請するほか、ミクシィも準備を進めていると報じられた。その他マザーズ時価総額上位は、サイバーダイン<7779>が同4.1%安、バイオ関連のそーせいグループ<4565>が同2.6%安、オンコセラピー・サイエンス<4564>が同3.2%となるなど軟調だった。ジャスダックでは、ガーラ<4777>が人気スマートフォンゲームを巡る思惑から急騰する場面があったものの、リリース発表後は出尽くし感から急落した。他方でクルーズ<2138>は同9.2%高となった。テーマ株や直近IPO銘柄の循環物色が活発となり、マイナンバー関連でITbook<3742>やエムケイシステム<3910>、情報セキュリティ関連でFFRI<3692>やセキュアヴェイル<3042>、衛生品・感染症対策関連でダルトン<7432>や興研<7963>、直近IPO関連ではコラボス<3908>やsMedio<3913>などが買われる場面があった。その他では、リーバイ・ストラウス・ジャパン<9836>、MAGねっとHD<8073>、テイン<7217>、パス<3840>などが大きく上昇した。
今週の新興市場は、6月IPO案件の上場日が迫ってきたことによる換金売りが需給面の弱材料となるものの、相対的な出遅れ感を手掛かりとした中小型株物色の継続で底堅い展開となることが想定される。短期の値幅取り狙いの物色も多く、値動きの荒い銘柄が多いことには注意が必要となるが、引き続きテーマ株・材料株物色は活発となるだろう。
情報セキュリティ関連や衛生品・感染症対策関連のテーマについては、問題の収束に時間を要するとみられることから、市場での関心も継続しそうだ。また、今週は8日にストリーム<3071>、9日にアスカネット<2438>、10日にラクーン<3031>、シーシーエス<6669>、11日にテックファーム<3625>、12日にファーマフーズ<2929>、Hamee<3134>、モルフォ<3653>、エニグモ<3665>、フリービット<3843>、サンバイオ<4592>、スリー・ディー・マトリックス<7777>、日本テレホン<9425>と、週末にかけて多くの決算発表が予定されている。好業績で躍進するモルフォに加え、ラクーンやシーシーエスに注目したい。
IPO関連では、ヘリオス<4593>の公開価格が決定している。ブックビルディングはやや低調と観測されていたが、仮条件の上限となった。また、先週実施されていたブックビルディングでは、スマートバリュー<9417>やマーケットエンタープライズ<3135>が人気を集めていた。今週は2件のブックビルディングが継続するほか、新たに中村超硬<6166>など5件が開始される。なお、先週は富士山マガジンサービス<3138>など3件の7月IPOが発表された。《HK》