英オックスフォード大学、「社会的・環境的リスクが高いセクター」への投資を禁止

2015年5月27日 08:19

 米国の大学に続いて、英国の大学でも倫理的な投資の方針を定める動きが広がっている。英オックスフォード大学は5月18日、石炭やオイルサンド事業から収益の大部分を得ている企業や「社会的・環境的リスクが高いセクター」への投資を永久に禁止する方針を打ち出した。

 『ウォール・ストリート・ジャーナル日本版』(5月19日)によると、同大のアンドリュー・ハミルトン副総長は「われわれは投資基金の主目的が学問の追究を支援する財源を生み出すことだと理解している。ただ、投資先を検討する際、投資マネジャーは長期的視点で気候変動などの世界的リスクを考慮する。大学はこのアプローチが正しいもので、今日の決定はそれを後押しすると確信している」と述べた。

 すでに、英国ではケンブリッジ大学が同様の決断を下し、投資における「社会責任」を強化するための新たな委員会を設けた。

 英国では、化石燃料が地球温暖化の一因になっているとの主張に基づいて、化石燃料業界への投資に反対する運動が盛り上がっており、大学の決定も学生たちの運動に配慮した側面があると見られている。

 すでに米国では、3年ほど前から化石燃料業界への投資に反対する環境団体「350」などが「Divest(投資撤収)」を掲げて運動を展開してきた。これに連動する形で、昨年からは学生の間でも運動が高揚し、全米の約500の大学に運動が広がったという。

 この間、12年には米北東部メーン州にある大学ユニティカレッジが運営基金の投資先からエネルギー大手を、初めて外した。運用額が全米最大のハーバード大学での学生運動は、「天下分け目の攻防」と注目された。昨年5月には学生ら40~50人が学長棟を封鎖し、学生1人が逮捕されという事態にまで至った。キャンパス内の運動で逮捕者が出たのは、ベトナム反戦運動以来のこと。

 同大では教員も学生運動に加わり、学長に「化石燃料業界への投資をやめるよう」要求する公開書簡を送った。結局、ハーバード大学側は運用先の変更を拒んだものの、投資するときは環境への配慮を一段と強めるという方針を打ち出した。これに対して、スタンフォード大学は石炭会社への投資を避けることに同意している。

 米国から英国へ、そしてさらに波及することになるのか、注目される。(編集担当:久保田雄城

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