永続的に熱エネルギーを保存できる「蓄熱セラミックス」を発見―東大・筑波大

2015年5月14日 20:44

 東京大学の大越慎一教授と筑波大学の所裕子准教授らの研究グループは、永続的に熱エネルギーを保存できるセラミックス“蓄熱セラミックス”という新概念の物質を発見した。

 蓄熱材料には、レンガやコンクリートなどの与えられた熱がゆっくり冷める材料と、水やエチレングリコールのような固体-液体相転移の転移熱を利用する材料がある。しかし、いずれの場合も熱エネルギーを長時間保存することはできず、時間経過に伴い熱が放出されてしまう。

 今回の研究では、永続的に熱エネルギーを保存できるセラミックス“蓄熱セラミックス”という新概念の物質を発見した。この物質は、チタン原子と酸素原子のみからできた、ストライプ型-ラムダ-五酸化三チタンで、60MPaという弱い圧力でラムダ構造からベータ-五酸化三チタンへ相転移して放熱し、逆に200℃以上の熱を与えるとラムダ構造に再び相転移する。そしてどちらの状態でも安定して保持できるため、永続的に熱を蓄えることができる物質であるとみなすことができる。

 今後は、日中に得られた太陽熱エネルギーや溶鉱炉の廃熱エネルギーなどを効率良く蓄え、夜間発電や夜間暖房など必要な時に圧力を加えて熱エネルギーとして取り出すという再生エネルギー利用技術として実用化できると期待されている。

 なお、この内容は「Nature Communications」に掲載された。論文タイトルは、「External stimulation-controllable heat-storage ceramics」(外部刺激で制御可能な蓄熱セラミックス材料)。

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