日立造船のスイス子会社がバイオガス精製技術を取得
2015年3月11日 06:27
日立造船のスイスの子会社 Hitachi Zosen Inova AG は、ドイツの MT-BioMethan GmbH からバイオガス精製における技術や工場などを取得した。日立造船が10日に発表した。
Hitachi Zosen Inova AG はごみ焼却・発電プラントの設計、建設、保守などを手がけており、ドイツ企業から技術・ノウハウ、実績、特許、工場など資産一式を取得したことで業務が拡大するとみられる。
Hitachi Zosen Inova AG は、昨年12月にバイオガス化技術の代表的手法の1つであるコンポガス技術を取得したが、今後はコンポガス技術とバイオガス精製技術を組み合わせた幅広い提案が可能となる。
バイオガスは、主に発電や熱供給に利用することが一般的。近年ではCO2除去などの精製を行うことでより純度の高いバイオガスにアップグレードさせて活用するニーズが高まっている。精製されたバイオガスは、発電や熱供給だけでなく、一般家庭への供給や自動車燃料などにも利用される。
精製方式には、アミン・スクラビング方式やメンブレン方式などがあるが、MT-BioMethan GmbH は両方の技術を持っている。特にアミン・スクラビング方式で高いシェアを誇り、ドイツやスイス、フランスなどに46カ所のバイオガスプラントに精製装置を納入している。また、コンポガス技術が採用されているバイオガスプラントにも10件の納入実績を有する。
バイオガスは、再生可能エネルギーの1つであり、2020年までにエネルギー消費における再生可能エネルギーの割合を20%以上に高めることを目標とするEUで需要が高まっている。バイオマス技術の先進国であるドイツでは、2001年から14年にかけ6,000カ所以上のバイオガスプラントが建設されている。大部分のバイオガスプラントにはCO2を除去する精製装置は備わっていないため、今後は装置の導入が期待される。(記事:宮野 浩・記事一覧を見る)