ガラケー回帰強まる 7年ぶりに出荷台数増

2015年2月9日 11:51

 先日、繁華街を歩いている時、客待ちのタクシー運転手が車内で従来型携帯電話、「ガラケー」を使用しているのを見て、筆者自身が久しぶりにガラケーを目にしたこともあって「まだガラケーを使っているのか」と驚いてしまった。

 しかし、考えてみれば筆者自身がスマートフォン(多機能携帯電話)に乗り換えた時、「電話に、こんな色々な機能を付ける必要があるのか?」と違和感を感じたことを思い出し、人の「慣れ」というのは驚くべきスピードで進行するものなのだなと、かつてスマートフォンに違和感を覚えていた自分のことを忘れて、ガラケーを使用している人のことを「時代遅れ」であるかのような目で見てしまった自分を反省した。

 しかしここ数年、スマートフォンユーザーのガラケーへの回帰傾向が強まっている。それはかつて筆者が感じた「電話に、こんな機能が必要なのか?」という違和感、そしてそれらの機能が付いていることによって起こる「料金の高さ」などが要因なのだろう。筆者などはすっかりその違和感や料金の高さに慣れてしまってはいるが、しかし世の中にはまだまだ大勢、その違和感と料金の高さへの不満を持ち続けている人がいるということなのだろう。

 そして、そうしたガラケー回帰の傾向を裏付けるような調査結果が、調査会社のMM総研によって発表された。MM総研は3日、2014年の国内携帯電話出荷台数を発表。それによれば、従来型携帯電話の出荷台数は前年比5.7%アップの1058万台であり、7年ぶりに増加したことがわかった。

 スマートフォンの集荷台数は前年比5.3%ダウンの2770万台。このスマートフォンの減少が要因となり、携帯電話全体の出荷台数も前年比2.5%ダウンの3828万台と減少した。携帯電話全体の出荷台数が減少するのは、これで2年連続のことである。

 MM総研は今回のこのガラケー回帰の傾向について、スマートフォンの料金の高さや、ガラケーの通話のしやすさなどが要因となり、スマートフォンからガラケーに戻るユーザーが増加しているのではないかとの見方を示している。

 もしこのままガラケーユーザーが増え続け、スマートフォンユーザーに近づけば、筆者が見たタクシー運転手は「時代遅れ」などではなく、むしろ「時代の先取り」をしていたことにならないだろうか?見方や状況が変われば、「時代」などはいくらでも遅れたり先に進んだりする。「時代遅れ」という言葉など、それくらいあやふやな言葉だということなのだろう。(編集担当:滝川幸平)

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