2014年のノーベル化学賞は、蛍光顕微鏡を開発した3氏が共同受賞
2014年10月9日 14:53
headless 曰く、 2014年のノーベル化学賞は、米ハワード・ヒューズ医学研究所のEric Betzig氏、ドイツ・マックスプランク研究所のStefan W. Hell氏、米スタンフォード大学のWilliam E. Moerner氏が共同受賞した。授賞理由は超解像の蛍光顕微鏡の開発。光学顕微鏡では光の波長の半分以下の解像度を得ることはできなかったが、3氏は蛍光分子を使用することで制限を破り、光学顕微鏡をナノメートルの世界に導いた(プレスリリース、読売新聞、日経新聞、毎日新聞)。
Stefan W. Hell氏は2000年に2つのレーザー光を使用するSTED顕微鏡法を開発。STED顕微鏡法では、1つのレーザー光で蛍光分子を励起させ、もう1つのレーザー光がナノメートルサイズの範囲を除いて脱励起させる。サンプルのスキャンをナノメートルずつ繰り返すことで、高い解像度を得ることが可能となる。
Eric Betzig氏とWilliam E. Moerner氏は個別の研究で、1分子顕微鏡法の基礎を築いた。1分子顕微鏡法では個別の分子の蛍光を制御し、異なる分子を光らせて同じ範囲を繰り返し撮影した画像を重ね合わせることで、高い解像度を得ることが可能となる。2006年にはEric Betzig氏がこの技術を初めて実用化した。
これらの「nanoscopy」と呼ばれる顕微鏡法の開発により、生きた細胞内での分子の様子を観測することが可能となった。現在では世界で広く使われており、人類の利益となる新たな知識を日々生み出しているとのことだ。
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