たかの友梨の問題で見るブラック企業が退場する市場とは?

2014年9月28日 19:31

 たかの友梨ビューティクリニックを展開する不二ビューティが揺れている。ことの発端は同社の仙台店だ。同店勤務の女性社員が、残業代一部未払いの問題を労働基準監督署に申告。これを知った同社社長の高野氏が同店に来店し、パワハラとも取れる言動で、この従業員の行動を約2時間半に渡り非難したことが問題となっている。

 その中で同氏は「労働基準法にぴったりそろったら、(会社は)絶対成り立たない」「つぶれるよ、うち。それで困らない?」と問いただしたという。また36協定についても言及したといわれている。36協定とは法定以上の労働をさせる場合に労使間で締結する協定だ。この協定を締結することにより、1カ月45時間まで、1年で360時間まで時間外労働をさせることが可能となる。ただ今回の例では、労働基準法の例外部分だけを特別視し、本質な部分がないがしろになれた印象は否めない。

 消費者の期待に応えるため、企業は熾烈な競争を繰り広げている。その中で一部の企業は、労働基準法の一部を拡大解釈し、従業員に長時間労働を強いることで利益を上げてきた。しかし、そうした方程式が成り立たなくなりそうな傾向はある。その例が居酒屋ワタミを展開するワタミ<7522>だ。

 2008年、同社元社員の女性が過労で自殺をした裁判を通し、ワタミの過酷な労働現場の実情が明るみにでた。現在、安さを売りにしてきた居酒屋の不振が目立ち、デフレからの回復の影響とも見られているが、同社の売り上げの落ち込みは激しい。14年3月期に上場後、初の赤字に転落すると、その後も低迷を続け回復の糸口をつかめずにいる。14年度中に人手不足を原因に全国60店舗を閉店されるが、人材も客も集まらないのが現状だ。

 9月18日、日本エステティック機構は、業界の健全な発展を妨げるとして、不二ビューティが運営する3サロンの人称を取り消した。また同社は11日に、「労働基準法の順守に全力を尽くす」とする文書を公表。事態の沈静化を図っている。ドラッガーの有名な言葉の一つに「顧客の創造」というものがある。顧客がいなければ、どんな事業も成り立たない。コンプライアンスを守らない企業を消費者が見放す姿勢が必要である。(編集担当:久保田雄城)

関連記事

最新記事