USS Research Memo(7):オークション会場の競争力は引き続き強さをキープ

2014年9月13日 00:01


*00:01JST USS Research Memo(7):オークション会場の競争力は引き続き強さをキープ
 


■決算概要

(3)事業セグメント別動向

○オートオークション事業
売上高は前年同期比1.0%増の12,305百万円、営業利益は同0.3%増の7,657百万円となった。オートオークション出品台数が同4.7%増の58.4万台、成約台数が同1.1%減の36.5万台、成約率は62.6%(前年同期66.3%)となり、いずれも会社計画どおりの進捗となっている。商品売上原価が増加した一方で、キャンペーンの見直しで販促費や広告宣伝費が減少し増益を維持した。

会場別の出品台数動向を見ると、大阪、岡山会場がそれぞれ前年同期比14.0%増、15.4%増と好調に推移したほか、主力会場である東京会場では6.5%増、前年8月に新会場をオープンした名古屋会場も4.8%増といずれも順調に拡大した。一方、落ち込みが目立ったのが北陸会場で17.3%の減少となった。これは前年10月から陸送補助制度※を撤廃した影響が大きい。

※陸送補助制度・・・会場から一定距離を超える遠方から参加する出品業者に対して、出品車両の輸送費を一定割合補助する制度。不公平感も出ることから撤廃した。

手数料単価の動向を見ると、1台当たり出品手数料は5,418円と前年同期比で48円低下した。東京会場で低額車コーナーを新設したことで低額車の台数が増加したこと、手数料単価の低い大口出品割合が増加したことが要因だ。一方、成約手数料も大口出品割合が増加したことで7,829円と同44円の低下となった。また、ここ数年外部落札比率の上昇や手数料の値上げで上昇傾向が続いていた落札手数料に関しては、11,063円と同129円の低下となった。手数料単価の高い外部落札比率が48.4%と前年同期の50.4%から低下したことが要因だ。外部落札率の低下要因としては、従来、外部落札してきた輸出業者が取扱台数の増加とともに、オークション会場に来場して落札するケースが増えたためとみられる。

この結果、手数料売上高の内訳は、出品手数料が前年同期比3.8%増、成約手数料が同1.7%減、落札手数料が同2.3%減となった。

なお、ユー・エス・エス<4732>のオークション会場の競争力は、引き続き強さをキープしている。これはUSSグループのオークション会場と他会場での成約率の差、あるいは1台当たり成約車両金額の差から見て取れる。同社の成約車両金額が前四半期比で若干低下しているが、これは前述したように、低額車コーナーの新設による台数増加が影響したものと考えられる。2014年1-6月の出品台数シェアは32.3%と2013年の31.8%から上昇しており、同社が進める「オークション会場としての質を維持しながら、出品台数シェアの拡大を図る」戦略は順調に進行していると言えよう。

○中古自動車等買取販売事業
売上高は前年同期比16.3%減の2,386百万円、営業利益は同49.4%減の94百万円と会社計画をやや下回った。このうち中古自動車買取販売のラビット事業は、売上高が同17.9%減の1,589百万円、営業利益が同32.1%減の89百万円に、事故現状車買取販売事業は売上高が同13.0%減の797百万円、営業利益が同90.2%減の5百万円となった。いずれも、新車販売の減少による取扱台数の減少が影響した。

○その他事業
売上高は前年同期比16.9%増の1,768百万円、営業利益は同141.5%増の258百万円と大幅増益となり、会社計画を上回る格好となった。このうち、廃自動車等のリサイクル事業を手掛けるアビヅは、売上高が同16.8%増の1,324百万円、営業利益が同103.3%増の178百万円となった。廃自動車等の取扱量が増加したことに加え、鉄スクラップの相場が高値安定で推移したことが要因だ。

廃ゴムのリサイクル事業を手掛けるカークエスト東洋事業部の売上高は前年同期比10.2%増の272百万円、営業利益は前年同期の3百万円から39百万円に拡大した。収益性の高いカラー着色弾性舗装用ゴム製品の売上が好調に推移したのが主因だ。また、中古自動車の輸出手続代行サービス事業を手掛けるUSSロジスティクス・インターナショナル・サービスも売上高が同11.1%増の146百万円、営業利益が同87.1%増の29百万円と好調に推移した。輸出業者の取扱台数が増加したことに加えて、検査業務の内製化を進めたことで、収益性が向上した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《FA》

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