東大、有機分子ワイヤを通る電子移動速度が高速化していることを発見

2014年8月27日 14:59

 東京大学の助川潤平博士らによる研究グループは、有機分子ワイヤ中を通る電子の移動速度が、既存の分子ワイヤに比べておよそ840倍になることを発見した。

 様々な情報機器の高密度化・省電力化を目差して分子ワイヤの開発が活発におこなわれており、東京大学の同研究グループは、既にオリゴフェニレンビニレン(OPV)を炭素原子で架橋した構造を持つ「炭素架橋フェニレンビニレン(COPV)」を開発している。

 今回の研究では、COPVの両末端に電子供与体と電子受容体を連結したハイブリッド分子を合成し、電子移動速度を測定した。その結果、マーカスの逆転領域と呼ばれるエネルギー領域では、既存のOPVを分子ワイヤに用いた場合と比較して電子移動速度がおよそ840倍速くなっていることを発見した。

 今後は、常温駆動する単分子トランジスターなどの分子エレクトロニクスの発展や、高機能・省電力な分子コンピューターの実現に貢献できると期待されている。

 なお、この内容は8月25日に「Nature Chemistry」オンライン版で公開された。

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