NTT、約20m先にいる特定の人の声をクリアに収音できる技術を開発

2014年4月17日 15:03

 日本電信電話(NTT)は16日、約20m先で話す人々の声から、カメラでズームして撮影するように、指定した人の声のみをクリアに収音可能な「ズームアップマイク」を開発したと発表した。この技術を活用することで、例えば、スポーツ観戦や中継において、まるでカメラでズームするかのように、遠く離れた選手の声を自由に選んで聞くことが可能となるという。

 これまで、遠くの音を収音する技術には、ガンマイクやパラボラマイクなどがあったが、音源が5m以上離れた位置にある場合、受音時のエネルギーが小さいことや空間分解能が低いため、周りの雑音と区別して収音することが困難だった。

 今回NTTが開発した「ズームアップマイク」は、約100本のマイクロホンと、凹型反射板から構成される。音を反射させて遠くの音を収音する凹型反射板の前に、約100本のマイクロホンを設置することで、そのマイクロホン間に生じる位相/振幅差を利用し、遠く離れた場所(約20m)の狙った音だけをクリアに収音することを可能とする。また、約100本のマイクロホンから、すべての音声を録音しておくことで、あとから任意の場所の音をズームアップして聞くことも可能という。

 利用シーンとしては、例えば、望遠カメラを組み合わせることで、スポーツ選手に映像も音声もズームアップし、より臨場感のあるスポーツ観戦や放送サービスが可能となる。また、大きな会場の客席からの質疑応答も、手元にマイクなしでクリアに聞くことが可能となるほか、大人数のテレビ会議でも一人一人の発言をクリアに聞くことができるようになるなど、様々な用途への応用が期待されるという。

 NTTでは、小型で汎用性のあるマイク素子(2~3本)と今回開発した信号処理技術を組み合わせることで、騒音や雑音のある環境下でも、クリアに狙った場所の音声を収音できる小型収音装置(マイク)やソリューションを、NTTグループの事業会社を通じて、開発・販売する。

 これらを活用することで、例えば、雑音の多い車でのカーナビ操作や、工場内での機械騒音下でのハンズフリー会話などへの活用が期待できる。

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