【配当・株主優待企業特集】カーリットHDは底打ち確認して戻り歩調、3月期末一括配当と株主優待制度に注目
2014年3月13日 10:37
■カーリットホールディングス<4275>(東1)
カーリットホールディングス<4275>(東1)の株価は全般地合い悪化の影響を受けて急落する場面があったが、底打ちを確認して足元は戻り歩調となった。低PER、低PBR、そして期末一括配当に株主優待制度を考慮した総合利回りは高水準であり、3月期末に向けて権利取りの動きが注目される。
日本カーリットが純粋持株会社を設立して13年10月東証1部市場に上場した。化学品事業部門(産業用爆薬、緊急保安炎筒・信号炎管、危険性評価試験受託、化成品関連、電子材料・機能性材料関連など)を主力として、ボトリング事業部門、産業用部材事業部門(半導体用シリコンウェーハ、研削材、耐火・耐熱金物など)を展開している。
自動車用緊急保安炎筒の国内市場シェアは約8~9割と想定される。またボトリング事業は伊藤園<2593>向けが主力で、半導体用シリコンウェーハ事業は小口径4~6インチのニッチ市場を主力としている。海外は中国・上海、シンガポールに展開している。
中期経営計画「飛躍500」ではグループ収益基盤と総合力強化に向けて、M&A戦略を積極展開して事業を多様化してきた。13年10月には一級建築士事務所の総合設計を子会社化して、上下水道・排水処理施設設計分野に進出した。さらに14年2月に、東洋発條工業を子会社化したことにより、自動車・建設機械向けを中心とした各種スプリング製造・販売の分野にも事業を展開する。今後、耐火・耐熱金物の並田機工などと合わせた産業用部材事業部門を、新たな収益の柱とする。
10月30日に修正した今期(14年3月期)の連結業績見通しについては、売上高が前期比9.1%増の410億円、営業利益が同30.0%増の18億円、経常利益が同24.5%増の19億円、純利益は横浜工場跡地売却益の一巡で同31.0%減の11億円としている。電子材料関連やボトリング事業がやや低調で、M&A案件が遅れたことも影響して期初から減額したが、前期比増収営業増益見込みだ。主力の自動車用緊急保安炎筒で新車装着用の広域回収に伴う価格改定効果、車検交換用の緊急脱出用ガラス破壊機能付き製品「ハイフレヤープラスピック」への交換促進などが堅調に推移する。
来期(15年3月期)は、自動車用緊急保安炎筒や化成品分野の塩素酸ナトリウムの堅調な推移に加えて、ボトリング事業の冬場稼働率向上に向けたホット飲料対応、さらにM&Aによる総合設計と東洋発條工業の通期連結も寄与して好業績が期待されるだろう。
なお2月27日に今期配当予想の増額修正を発表した。持株会社制移行記念配当1円を増額して年間10円(期末一括)とする予定だ。前期との比較でも1円増配となる。また株主優待制度については、毎期末(3月31日)の株主名簿に記載された株主に対して、保有株式数に応じて「UCギフトカード」を贈呈している。100株以上500株未満保有株主に対して1500円相当ギフト券、500株以上1000株未満保有株主に対して2000円相当ギフト券、1000株以上保有株主に対して2500円相当ギフト券を贈呈する。
株価の動きを見ると、1月下旬~2月上旬の全般地合い悪化の影響を受けて480円~510円近辺のボックス展開から下放れの形となった。しかし2月5日の安値435円から急反発して従来のボックスレンジに回帰した。足元は概ね490円~500円近辺で推移している。リスク回避の売りは一巡した。
3月11日の終値495円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS53円42銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.0%近辺、実績PBR(日本カーリットの前期実績の連結BPS841円00銭で算出)は0.6倍近辺である。低PER、低PBRに加えて、期末一括配当に株主優待制度を考慮した総合利回りは高水準だ。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線を回復して下値を確認した形であり、昨年10月の高値圏を目指す展開だろう。
・コード:4275 ・市 場:東証1部 ・売買単位:100株 ・決算期:3月 ・株価:495円(3月12日) ・配当:年間10円(3月末10円) ・1単位投資金額:495×100株=4万9,500円 ・1単位投資利回り:10円×100=1,000円 1,000円÷4万9,500円=2.02% (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)