【中国の視点】マンデラ元大統領の葬儀から見る南アフリカの現実、平等の道は遠く
2013年12月13日 08:08
*08:08JST 【中国の視点】マンデラ元大統領の葬儀から見る南アフリカの現実、平等の道は遠く
今月5日に死去した南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領の国葬が10日の公式追悼式から始まった。各国の首脳級参列者は約140人に上り、世界最大級の葬儀になるともいわれている。
南アフリカで白人が黒人を差別したアパルトヘイト(人種隔離)と闘い、平和裏に撤廃させたマンデラ元大統領の功績が称えられている一方で、同国では未だに見えない差別が存在していると指摘された。同国のジェイコブ・ズマ大統領が葬儀の席上でスピーチをした際、アウェイの洗礼を浴びたほか、席を離れる現地の参列者が目立ったと報じられた。また、葬儀の会場であるヨハネスブルクのサッカー場では、追悼式の初日には満席ではなかったほか、一部都市で設置された追悼式の中継テレビの前に集まった人は予想より少なかったとも報告された。
多くの中小都市の失業率が最高で80%に上り、エイズ患者の割合が30%、暴力犯罪が数年前に比べて3倍に増加しているという厳しい現実を受け、多くの国民特に黒人の不満が高まっていることが背景にある。また、ズマ大統領自身の汚職や性的スキャンダルが大統領の就任前から報じられたことや、現職官僚の腐敗が横行していることも国民の不満を募らせている。
中国の専門家は、政権が黒人に変わってから19年しか経っておらず、黒人の社会地位や経済状況を短期間で改善するのは困難だと指摘した。とはいえ、治安や黒人の教育問題を早急に改善しなければ、同国の社会不安がマンデラ元大統領の死後に再び悪化する恐れがあると警告。経済や政治の主導権が白人に握られ続けるという状況では、真の平等を迎えられないと強調した。《ZN》