J-オイルミルズ Research Memo(7):原料相場、ミールバリューも収益性に影響を与えるファクター

2013年12月6日 18:34


*18:34JST J-オイルミルズ Research Memo(7):原料相場、ミールバリューも収益性に影響を与えるファクター

■業績動向

(1)業績推移

原料の大豆や菜種を輸入に頼っているため、J-オイルミルズ<2613>の業績は原料相場の影響を強く受ける。国際指標のシカゴ大豆相場(CBOT:シカゴ商品取引所)は、中国など新興国の経済成長に伴う輸入拡大に加え、新エネルギー需要なども加わり騰勢を強めている。その結果、大豆市況は2000年初頭に200ドル/トンだったものが2012年8月には過去最高値の623ドル/トンに達した。直近では米国穀倉地帯の天候要因などで472ドル/トンで落ち着いているが、それでもシカゴ大豆はこの10数年で2.5倍前後の水準で推移している。原料大豆の高騰に伴い大豆ミールも高値水準を保っており、同社の業績は原料高を遅滞なく製品価格に転嫁することが求められてきた。

2005年3月期以降の業績推移を見ると、原料市況を製品価格に反映させることから、売上高は3~6ヶ月のタイムラグを伴いながらシカゴ大豆相場と同様の動きをみせている。一方、営業利益は原料市況を製品価格に反映させるタイムラグが大きく影響する。シカゴ大豆相場が高騰を始めた2007~2008年は、原料高を吸収するだけの価格転嫁に遅れ、2007年3月期と2008年3月期の営業減益につながった。逆にシカゴ大豆相場がリーマンショックで調整入りした2008年後半~2010年は、製品価格引き下げまでのタイムラグがプラスに働き営業利益を回復させている。

また、油糧部門の項で述べたミールバリューも収益性を占う重要なファクターである。ミールバリューを高水準で維持できれば、原料高騰時にマイナスに作用するタイムラグをミールの売却資金である程度は吸収できる。2011年3月期~2012年3月期の営業利益低迷は、過度の円高で輸入ミールが国産ミールに比べて割安になった結果、国内のミールバリューを引き下げた影響によるもので、2013年3月期はミールバリューの回復が営業利益を押し上げたものと推察される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 馬目俊一郎)《FA》

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