【木村隆のマーケット&銘柄観察】三井物産は高利回りがアピール、収益拡大を織り込む相場へ

2013年12月6日 13:09

  三井物産 <8031> がその存在感を強めるタイミングを迎えた。現在の市場は、物色銘柄の方向感を喪失したまま、指数だけが乱高下する展開になっているが、そうした中で同社の配当利回り3.7%は、大いなるアピールポイントと言える。さらに、PBRは0.8倍と割安そのもので、先行きの訂正高へのポテンシャルも大きい。

  業績も好調で、今2014年3月期の9月中間決算は円安に加え、鉄鉱石の生産数量増、サハリンIIなどLNGプロジェクトからの配当増などが寄与、純利益は1972億円と、前年同期比17%増を確保した。それにも関わらず、株価は無反応の状態が続いているが、これは中国経済の成長率鈍化に伴う資源市況および同社の連結業績の停滞への懸念が依然として根強いことにあると思われる。

  中国経済が復調の兆しを強めるなど、環境が好転の兆しを強めるとともに、同社も収益基盤強化に向け、「川上領域への取組み拡大(金属、エネルギー、化学品、生活産業)」に注力している。エネルギー供給構造の変化、世界的な人口増加、新興国の生活水準の上昇が続くなか、エネルギー、食料など各種上流資源を仲介する総合商社機能の重要性が一段と高まるとみられるだけに、川上領域での収益増加に向けた取組みは注目される。

  過去の株価は資源価格との連動性が強く、今もそうしたイメージはあまり変わっていないようだ。しかし、同社は積極的な投融資を継続しており、資源関連の持分権益量の増加など収益基盤の充実が続く見通し。非資源分野の強化と相まって、業績は来期以降も増益が続く見通しにある。そうした収益拡大を織り込みに向かいながら、着実に居どころ修正高へ進むパターンが予想される。(木村隆:日本証券新聞取締役編集局長を経て株式評論家)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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